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## 秘密の図書館の甘い囁き

蝉の声も途絶え、夏の日差しがアスファルトを焦がす昼下がり。僕は、古びた書店の片隅にある「秘密の図書館」にいた。そこは、一般の客は立ち入れない、店主である美咲さんだけが鍵を持つ特別な空間だ。僕は、美咲さんの弟という立場でありながら、彼女の仕事を手伝うために、たまにこの図書館に招かれていた。

美咲さんは、僕より七つ年上の人妻だ。すらりとした長身に、艶やかな黒髪。そして何より、時折見せる色っぽい眼差し。普段は物腰柔らかで、誰にでも優しい「できすぎ女子」として知られている彼女だが、この秘密の図書館では、僕だけに見せる別の顔があった。

「あ、来たのね。待ってたわよ」

扉を開けると、書棚の奥から美咲さんが顔を出した。彼女は、淡いブルーのワンピースに身を包み、髪をゆるくまとめている。その姿だけで、僕の心臓は早鐘を打ち始めた。

「お、おかえりなさい、お姉ちゃん」

どもりながら挨拶すると、美咲さんはくすりと笑った。その笑い声は、まるで鈴のように軽やかで、僕の緊張を和らげてくれる。

「今日は、この本を整理してもらえるかしら？ もう何年も手つかずで…」

そう言って、彼女は山積みの古書を指差した。僕は、その誘いに喜んで従った。この図書館で、美咲さんと二人きりで過ごす時間は、僕にとって何物にも代えがたい宝物なのだ。

「甘えん坊さんなんだから。こっちおいで」

作業中、ふと美咲さんが僕にそう声をかけた。彼女は、僕の隣に座り、僕の肩にそっと手を置いた。その指先から伝わる温かさに、僕は思わず身を固くする。

「いや、そんな…」

「いいのよ。今日はお姉ちゃんに甘えていいんだから」

彼女は、僕の顔を覗き込み、その大きな瞳でじっと僕を見つめた。その瞳には、普段の優しさとは違う、どこか甘く、誘うような光が宿っていた。僕の顔が熱くなるのを感じる。

「もう、顔が真っ赤よ。可愛いんだから」

彼女は、僕の頬にそっと指を滑らせた。その仕草に、僕はまるで子犬のように、彼女に吸い寄せられていく。彼女の吐息が、僕の耳元にかかる。

「大丈夫。ここには誰もいないわ。二人だけの秘密の場所だから」

彼女の言葉に、僕の理性が崩壊していくのを感じた。本当はいけないことだと分かっている。彼女は、僕の兄の妻なのだ。しかし、この甘く、誘惑的な雰囲気に、僕は抗うことができなかった。

彼女の顔が、ゆっくりと近づいてくる。その吐息が、僕の唇をかすめた。僕は、目を閉じた。

唇が触れ合った瞬間、世界が止まったような感覚に襲われた。甘くて、少し湿った感触。それは、僕がずっと夢見ていた、禁断の甘い味だった。

彼女の腕が、僕の首に絡みつく。僕は、彼女の体に身を預けた。彼女の温かさが、僕の全身を包み込む。

「ん…っ…」

彼女の喘ぎ声が、僕の耳に響く。その声は、僕の心をさらに乱した。

「もっと…くれない…？」

彼女の声が、僕の鼓膜を震わせる。僕は、彼女の唇を求め、さらに深く、彼女にキスを返した。

秘密の図書館の静寂は、二人の熱い吐息と、甘い囁きで満たされていった。書棚に並ぶ古書たちは、まるでこの秘密の夜を静かに見守る証人のようだった。

彼女との時間は、まるで夢のようだった。日頃のストレスや悩みが、全て洗い流されていくような感覚。彼女の温かい胸に抱かれ、僕はただ、この甘い時間に溺れていた。

「あ…もう、ダメ…」

彼女の声が、弱々しく響く。僕は、彼女の体を優しく抱きしめた。

「大丈夫？ 疲れた？」

「ううん…でも、もう、限界…」

彼女は、僕の胸に顔を埋めた。その髪から漂う、甘い香りが僕の鼻腔をくすぐる。

「本当に…甘えん坊さんなんだから。でも、そういうところ…嫌いじゃないわ」

彼女の言葉に、僕は嬉しさと同時に、罪悪感も感じた。しかし、この温かい温もりを手放したくないという気持ちが、それを上回っていた。

「いつも…ありがとう。おかげで…元気が出た」

彼女は、僕の胸から顔を上げ、満面の笑みを浮かべた。その笑顔は、太陽のように眩しく、僕の心を照らした。

「僕の方こそ…いつも、ありがとう。お姉ちゃんのおかげで、僕も元気になれる」

僕たちは、しばらくの間、言葉もなく、ただ静かに抱き合っていた。秘密の図書館に差し込む夕日が、僕たちの姿を優しく照らし出していた。

この秘密は、僕と彼女だけのもの。誰にも知られることのない、甘く、切ない、禁断の愛の形。僕は、この秘密を胸に、これからも彼女の隣で、この甘い時間を噛み締めていこうと、心に誓った。

彼女の甘い眼差しと、癒しの温もり。それは、僕にとって、何よりも代えがたい、かけがえのない宝物だった。この秘密の図書館で、僕たちはこれからも、甘い囁きを分かち合い、互いを癒し合っていくのだろう。それは、決して公にできない、けれど、僕たちの心を温かく満たしてくれる、秘密の愛の物語だった。