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## 老いの桜、華やぐ部屋

梅雨時の湿った空気が、古びた木造家屋の隙間から忍び込んでくる。杉浦源三郎は、心臓発作以来、寝たきりに近い生活を送っていた。かつてはボクシングで鍛えた頑健な肉体も、今では見る影もなく衰えていたが、その性根だけは、若い頃と変わらず「スケベ」の一文字で貫いていた。

「おやまあ、今日もいい天気でんなあ、源爺さん。」

扉を開けて入ってきたのは、本日担当の介護ヘルパー、いつきさんだった。ふわりとしたエプロンに身を包み、柔らかな笑顔を湛えた彼女は、源三郎にとってまるで春の陽光そのものだった。細い腰から滑らかな曲線を描く臀部、そして胸元を強調するような胸元の開き具合に、源三郎の古びた下半身はかすかに疼いた。

「お、おぅ、いつきちゃん。今日も美人さんやなあ。」

源三郎の声は、老齢のせいでかすれ、震えていた。しかし、その瞳の奥に宿るギラギラとした光は、若者のそれと何ら変わらなかった。彼は、この美人ヘルパーを何とかして「ものにしたい」と、常々考えていた。そのために、彼は「発作のふり」という作戦を練っていた。

「お医者さんからは、安静にしてなさいって言われてるんだけど、なんだか調子が悪くてねぇ。」

そう言っては、少し顔色を悪く見せたり、かすかに胸を押さえたりする。いつきさんは、そんな源三郎を心配そうに見つめ、優しく声をかけてくれる。

「大丈夫ですか？お水でも持ちましょうか？」

その優しさが、源三郎の心をさらに掻き立てる。彼は、いつきさんが湯を沸かしている間に、布団の中でそっと勃起するのを期待し、無駄に胸をさすったり、息遣いを荒くしたりした。しかし、いつきさんはあくまでプロフェッショナルだった。源三郎の紳士的な（しかし下心丸出しの）愛情表現にも、笑顔で応えながらも、決して一線を越えることはなかった。

ある日、いつものように発作のふりをしていつきさんの気を引こうとしていた源三郎の胸に、突然、本当に激しい痛みが走った。息をするのも辛く、冷や汗が全身を伝う。

「うぐっ…うぅ…。」

「源爺さん！どうしたんですか！？」

いつきさんの慌てた声が聞こえる。今までとは違う、本物の苦痛に顔を歪めながら、源三郎は彼女の手を掴んだ。その手は、いつものように柔らかく、そして温かかった。

「わ、わし…本当に…。」

言葉にならない源三郎の顔を見て、いつきさんはすぐに救急車を呼んだ。搬送される救急車の中で、源三郎はいつきさんの手を強く握りしめていた。その時の彼女の真剣な表情に、彼はある種の達成感と、そして恐れを感じていた。

その頃、もう一人の老人、石橋辰雄は、生涯現役をモットーに掲げていた。若い頃はボクサーとして鳴らし、その鍛え抜かれた肉体で数々の勝利を収めてきた彼は、年老いた今でもその精神を失っていなかった。しかし、古傷である膝の悪化により、介護を受けることになった。

「おい、お前。もっとちゃんと拭けねえのか！」

辰雄は、担当の若い男性ヘルパーに怒鳴り散らしていた。彼の介護は、まるで現役時代のトレーニングのようだった。しかし、その激しさが問題となり、彼はヘルパーにセクハラをする老人として、度々苦情を受けていた。

そんなある日、新しく担当になったヘルパーの絵里奈さんがやって来た。彼女は、まるで妖艶な曼珠沙華のように、艶やかな黒髪とグラマーな肢体を持っていた。その胸元は大胆に開き、腰のくびれは見る者を魅了する。絵里奈さんは、辰雄の荒々しい態度にも動じることなく、むしろ楽しむかのように応じた。

「あらあら、石橋さん、元気いっぱいですね。でも、無理は禁物ですよ。」

絵里奈さんが、辰雄の汗を拭うために近づいた時、その豊かな胸が辰雄の腕にほんの少し触れた。辰雄は、その温かさと柔らかさに、体中の血が逆流するのを感じた。

「う、うむ…。」

彼は、絵里奈さんに言い寄るセクハラ老人に成り下がっていたが、絵里奈さんの場合は、まるで針にかかった魚のように、彼の欲情をさらに掻き立てるものだった。彼女は、辰雄の膝をマッサージする際、故意にその太ももを撫で回すような仕草を見せ、辰雄を悶絶させた。

「いい気持ちですか？もっと強くしましょうか？」

絵里奈さんの悪戯っぽい笑顔に、辰雄は歯を食いしばった。彼女の指先が、肌の上を滑るたびに、彼の心臓は高鳴り、かつてのボクサー時代の闘志が蘇ってくるようだった。

認知症が進行していた高木一郎は、元々インテリの出版マンだった。しかし、今は物忘れが激しく、まるで子供のような状態になっていた。そんな高木さんの元に通うヘルパーの愛菜さんは、夫のEDに悩んでいた。家庭での満たされない性欲を、高木さんにぶつけていたのだ。

「高木さん、今日は何を食べたいですか？」

愛菜さんは、高木さんに向かって優しく語りかけるが、その瞳の奥には、別の思惑が隠されていた。彼女は、高木さんの無邪気さ、そして何も分からない純粋さを利用し、自身のストレス解消の道具にしていた。高木さんの肩を揉むふりをして、自分の胸を擦り付けたり、彼の手に自分の下半身をそっと触れさせたりした。

高木さんは、愛菜さんの行動の意味を理解していなかったが、彼女の温かさや、心地よい刺激に満足していた。彼は、愛菜さんが自分の体に触れる度に、不思議な幸福感に包まれていた。

ある日、愛菜さんがいつものように高木さんに体を寄せていると、高木さんの様子に変化が見られた。普段は穏やかな高木さんの顔に、かすかな困惑の色が浮かんだのだ。

「愛菜さん…なんだか、体が…。」

高木さんの言葉に、愛菜さんはドキッとした。今まで、高木さんの症状に変化があったことはなかったからだ。しかし、その変化は、彼女が望んでいた方向へと進みつつあった。高木さんの、無意識のうちに示される反応に、愛菜さんは驚きと同時に、ある種の興奮を覚えていた。

三人の老人は、それぞれ異なる問題を抱えながらも、世話好きな三人の人妻介護ヘルパーたちの癒やしによって、人生の終盤に再び華やぎを見出していた。源三郎は、いつきさんの献身的な介護に、心臓発作を乗り越え、再び生きる喜びを感じていた。辰雄は、絵里奈さんの挑発的な愛情表現に、老いも忘れて情熱を燃やしていた。そして高木さんは、愛菜さんの不思議なスキンシップに、穏やかな幸福を感じていた。

「源爺さん、今日も元気ですね！」
「おいおい、まだ足腰は達者だぜ、絵里奈ちゃん！」
「愛菜さん、今日もありがとうね。」

ヘルパーたちが部屋を出て行った後、それぞれの部屋には、微かな興奮と、満たされたような安堵感が残っていた。源三郎の股間は、再びパンパンになり、かつての屈強さを取り戻していた。辰雄の膝は、絵里奈さんのマッサージのおかげで痛みが和らぎ、体の芯から温かくなっていた。そして高木さんは、愛菜さんの記憶が薄れていく中で、彼女の優しさがもたらした心地よい感覚だけが、曖昧に脳裏に残っていた。

老いの桜は、散りゆく運命にあったが、その命の炎を再び灯すかのような、美人人妻介護ヘルパーたちの情熱的な「癒やし」によって、最後の輝きを放っていた。彼女たちの存在は、三人の老人たちの荒れた人生の終わりに、甘く、そしてエロティックな彩りを添えるのだった。