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## 転職と、彼女の胸の谷間

高橋翔太、28歳。人生の岐路に立たされていた。勤めていたIT企業での人間関係の悪化と、将来への漠然とした不安から、転職活動に踏み切ったのは半年前のこと。何度かの面接に撃沈し、自信を失いかけていた時、藁にもすがる思いで登録した転職エージェントがあった。

その名も「キャリア・ブリッジ」。正直、期待はしていなかった。でも、そこにいた担当者は、僕の転職活動の景色を一変させることになる。

最初に画面越しに現れた彼女は、まずその笑顔が太陽のように眩しかった。ふんわりとした癒し系の雰囲気で、声も穏やか。いわゆる「丁寧な営業」といった感じだが、どこか本物の優しさが滲み出ていた。名前は、佐藤優香（さとう ゆか）。

「高橋さん、本日はお時間をいただきありがとうございます。まずは、これまでのご経歴と、今後のご希望について詳しくお聞かせいただけますか？」

彼女の声に、張り詰めていた肩の力がふっと抜けるのを感じた。そして、彼女の丁寧な質問に答えていくうちに、自分でも気づいていなかった潜在的な希望や、漠然とした不安の正体が見えてくるような気がした。

ただ、彼女の魅力はそれだけではなかった。画面越しでもわかる、その洗練されたファッションセンス。すらりと伸びた手足。そして、何より…

「あ、あの…」

何度か、言葉を詰まらせてしまった。彼女が身につけているブラウスの胸元。そこには、信じられないほどのボリュームの胸が、豊かに収まっていた。それは、画面越しでもはっきりとわかる、圧倒的な存在感だった。

「高橋さん？どうかされましたか？」

優香さんの心配そうな声に、我に返る。

「いえ！いえ、なんでもありません！」

顔が熱くなるのがわかった。胸元に視線が吸い寄せられてしまう自分を、どうにか抑えつけようとするが、それはまるで磁石に引き寄せられる鉄粉のように、抗いようのない引力だった。

それから、定期的に彼女と連絡を取り合うようになった。電話やオンライン面談。その度に、僕は彼女の優しさと、そしてその胸に心を奪われていった。

「この求人、高橋さんのご経験とスキルにぴったりだと思うんです。少しだけ…」

そう言って、彼女が身を乗り出すと、ブラウスの谷間がさらに深く露わになる。その柔らかな曲線、そこから湧き上がる生命力。僕は、そんな彼女の姿を直視できず、画面の隅っこや、彼女の肩あたりばかりを見てしまう。

「高橋さん、この会社は福利厚生もしっかりしていますし、残業も比較的少ないと聞いています。ワークライフバランスを重視される高橋さんには、良い環境かもしれません。」

彼女の声は、僕の心の奥底に優しく響く。しかし、僕の頭の中は、彼女の胸の谷間という「禁断の果実」でいっぱいだった。

「手を出したくても出せない…」

このジレンマは、僕の転職活動の悩みを凌駕するほど大きくなっていった。彼女に失礼なことを考えている自分への嫌悪感。でも、抗えないこの欲望。この二つの感情が、僕の心を激しく揺さぶっていた。

ある日、優香さんから「直接お会いしてお話ししたい」という連絡があった。場所は、彼女のオフィス近くのカフェ。緊張で、手汗が止まらなかった。

カフェに入ると、優香さんはすでに席についていた。今日の彼女は、以前よりもさらに魅力的に見えた。淡いブルーのワンピース。そして、その胸元には、さらにボリュームのある、おそらくは新しいブラウス。光が当たり、谷間がキラリと輝いたように見えた。

「高橋さん、お待たせしました。」

笑顔で話しかけてくる優香さん。その横顔を眺めていると、吸い込まれそうなほど美しい曲線を描く首筋、そしてそこから続く、眩しいばかりの谷間。僕は、もう限界だった。

「あの…佐藤さん。」

「はい、なんでしょう？」

彼女は、僕の顔を覗き込むように、少し身を乗り出した。その瞬間、僕の理性のタガが外れた。

「…その…胸、すごいですね。」

口から出た言葉に、自分でも驚いた。失礼だ。あまりにも失礼だ。嫌われる。きっと、もう二度と、彼女に会えない。

僕の頭の中は、真っ白になった。謝らなければ。逃げ出さなければ。

しかし、優香さんは、僕の予想とは全く違う反応をした。

彼女は、一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐにふっと微笑んだ。そして、さらに驚くべきことに、彼女は、ゆっくりと、自分の胸元に視線を落とし、そして、僕に向き直った。

「え…？」

僕は、ただ呆然と彼女を見つめていた。

「ふふ…そう、ですか？ありがとうございます。このブラウス、新しいんです。ちょっと、大きすぎて…」

彼女は、冗談めかしてそう言った。しかし、その言葉の端々に、どこか照れくさそうな、それでいて、楽しんでいるような響きがあった。

「あ、いや、あの、すみません！失礼なことを言ってしまって…」

僕は、慌てて謝罪の言葉を重ねた。

「いえいえ、大丈夫ですよ。高橋さん、真面目な方なんですね。でも、そういう正直なところ、私は好きですよ。」

彼女は、そう言って、さらに笑顔を深めた。そして、驚くべきことに、彼女は、僕の隣に座っていた。

「でも、高橋さん。転職活動、大変でしょう？私でよければ、なんでも相談に乗りますから。」

彼女は、僕の肩に、そっと手を置いた。その手は、驚くほど温かかった。そして、その温かさのすぐ隣には、信じられないほどの柔らかさと、圧倒的なボリュームが、そこにあった。

僕の心臓は、早鐘のように鳴り響いた。嫌われるどころか、彼女は、僕にさらに近づいてきた。

「あの…佐藤さん…」

「はい？」

「その…また、お会いしても…いいですか？」

僕は、震える声で尋ねた。

優香さんは、僕の顔をじっと見つめ、そして、とびきりの笑顔で頷いた。

「もちろんですよ。むしろ、私の方こそ、高橋さんと、もっとお話したいです。」

その言葉を聞いた瞬間、僕の頭の中にあった「転職の悩み」も、「彼女の胸」への欲望も、すべてが霧散した。

代わりに、僕の心を満たしたのは、温かい光のような、希望だった。

そして、その日以来、僕の転職活動は、思わぬ方向へと進んでいくことになる。優香さんと、カフェで、ランチで、そして、仕事終わりに、何度か会うようになった。

毎回、彼女の胸元に視線が吸い寄せられそうになる自分を必死に抑えながら、僕は、彼女との会話に夢中になった。彼女は、僕のキャリアの相談に乗ってくれるだけでなく、僕の悩みや、愚痴まで、真摯に聞いてくれた。

ある夜、仕事終わりに、彼女と軽く一杯飲むことになった。バーの薄暗い照明の中、優香さんは、いつも以上に色っぽく見えた。ワイングラスを傾ける彼女の首筋、そして、そこから覗く谷間。僕は、もう、目を逸らすことができなかった。

「高橋さん、今日はお話できて楽しかったです。」

優香さんは、そう言って、僕の顔を覗き込んだ。その距離は、さらに縮まっていた。

「僕もです。佐藤さんのおかげで、なんだか、元気が出てきました。」

「それは良かったです。でも、高橋さん、まだ悩んでいらっしゃいますね？」

彼女は、僕の目をじっと見つめ、そして、そっと、僕の手に自分の手を重ねた。

「私で、もしよければ、なんでも話してください。どんなことでも。」

彼女の温かい手に、僕の冷たい手が包み込まれる。そして、その温かさのすぐ隣には、先ほどよりもさらに、圧倒的な存在感が、あった。

僕は、もう、理性を保てなかった。

「佐藤さん…」

「はい？」

「…好きです。」

口から出た言葉は、あまりにも唐突で、あまりにもストレートだった。

優香さんは、驚いた顔をした。そして、その驚きは、すぐに、照れたような、嬉しそうな表情へと変わっていった。

「…高橋さん。」

彼女は、僕の名前を呼び、そして、ゆっくりと、僕に顔を近づけてきた。

薄暗いバーの片隅で、僕たちの唇が、触れ合った。それは、まるで、今まで抑えきれなかった感情が、一気に解き放たれたような、熱いキスだった。

そして、そのキスの後、優香さんは、僕の耳元で、囁いた。

「私も…高橋さんのこと、気になっていました。」

その言葉に、僕は、天にも昇る心地がした。

結局、僕の転職活動は、思わぬ展開を迎えた。優香さんの後押しもあり、私は、希望していた企業に内定をもらうことができた。そして、彼女との関係も、さらに深まっていった。

あれから数年。私は、新しい職場で順調にキャリアを築いている。そして、優香さんとは、恋人として、そして、将来を誓い合うパートナーとして、共に歩んでいる。

あの時、彼女の胸に惹かれたことから始まった、僕の転職活動。それは、人生の岐路における、最も温かく、そして、最も刺激的な、転換点となったのだ。

今でも、彼女の胸元に視線が吸い寄せられることは、時々ある。でも、それはもう、ジレンマでも、欲望でもない。ただ、愛する彼女への、愛情の証なのだ。