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## エロ都市伝説を追う男

東京の片隅、埃っぽい雑居ビルの三階にある小さな編集プロダクション「裏ネタ探偵社」。そこが、俺、佐竹亮太の職場だ。表向きは雑誌記事の企画・編集をしているが、実態はネットの裏社会に潜む「エロ都市伝説」を追う、文字通りの裏稼業。

「佐竹、今回の締め切り、マジでヤバいぞ！」

編集長の甲高い声が、間仕切りの薄い壁を突き抜けて俺の耳に届く。ディスプレイに映る、意味深なタイトルが並んだ企画書を睨みつけた。

「エロ都市伝説最新作」。

今回は、笛吹き少女、闇風俗、人妻サークル、ちょんの間、レズハッテン場エステ、泥酔拉致、個人撮影会、盗撮女子寮、監禁少女…と、いつも以上に刺激的なキーワードが羅列されている。

「分かってますよ、編集長。でも、ネタがネタだけに、裏取りが難しいんです」

俺はそう言いながら、目の前のコーヒーを一口すすった。ブラックの苦味が、脳を覚醒させる。

「そんなの知ったことか！読者は刺激を求めてるんだ！お前の腕の見せ所だろうが！」

編集長の言葉に、俺は苦笑いを浮かべるしかない。実際、この手の記事はアクセス数が桁違い。会社の生命線と言っても過言ではない。

俺は、過去に週刊誌の記者をしていた。しかし、過剰な取材と捏造記事が発覚し、業界を追われた。そんな俺を拾ってくれたのが、この「裏ネタ探偵社」だった。

最初は戸惑ったが、今ではこの仕事に誇りを持っている。表に出せない真実を、独自の視点と調査で明らかにする。それは、ジャーナリズムとは違う形での、社会への貢献だと信じている。

今回の企画で、俺が特に興味を持ったのは、「都内某所に出没する笛吹き少女」というものだった。情報源は、匿名掲示板の書き込み。深夜の公園で、どこからともなく現れて、官能的な旋律を奏でる少女がいるという。その笛の音を聞くと、男性は性的な衝動に駆られるらしい。

俺は、書き込みに書かれていた公園に、連日深夜に通った。公園は、都心とは思えないほど静かで、街灯の光が不気味な影を作っていた。

数日後、ついにその少女が現れた。

月の光を浴びて、白く輝くワンピースを着た少女は、まるで妖精のようだった。彼女は、静かに笛を構え、目を閉じた。

その瞬間、公園全体が、幻想的な音色に包まれた。

それは、今まで聞いたことのない、官能的で、心を揺さぶる旋律だった。まるで、心の奥底に眠る欲望を呼び覚ますかのような、不思議な力を持っていた。

俺は、夢中でシャッターを切った。

笛吹き少女の写真は、記事の目玉となった。しかし、それだけでは終わらない。俺は、彼女の正体を探るべく、調査を開始した。

聞き込み調査、SNSの解析、そして、過去のニュース記事の洗い出し。

その結果、少女は、数年前に失踪した天才音楽家の娘であることが判明した。彼女は、母親を亡くした後、精神的に不安定になり、姿を消したという。

彼女が奏でる笛の音は、母親への愛情と、喪失感から生まれたものなのかもしれない。

俺は、記事にその事実を盛り込んだ。単なるエロ都市伝説ではなく、少女の悲しい過去と、音楽への情熱を伝える記事にしようと思ったのだ。

記事は、予想以上の反響を呼んだ。読者からは、「感動した」「心が痛んだ」といったコメントが寄せられた。

編集長は、俺の肩を叩き、こう言った。

「佐竹、お前はやっぱりすごいな。ただのエロ記事を、感動的なストーリーに変えてしまうんだから」

編集長の言葉に、俺は複雑な気持ちになった。確かに、読者は刺激を求めている。しかし、それだけではない。人は、心の奥底にある感情を揺さぶられることを求めているのだ。

その後も、俺は「エロ都市伝説」を追い続けた。闇風俗、人妻サークル、ちょんの間、レズハッテン場エステ…様々な裏社会を潜り抜け、真実を暴いていった。

ある時は、危険な目に遭うこともあった。泥酔拉致サークルに拉致されそうになったり、個人撮影会でトラブルに巻き込まれたり。

しかし、それでも俺は諦めなかった。なぜなら、この仕事には、正義があるからだ。

無法地帯と化した裏社会に、光を当てる。被害者を救い、犯罪を抑制する。それが、俺の使命だと信じている。

ある日、俺は「監禁少女」に関する情報をつかんだ。匿名の人物から、自宅に監禁された少女の記録が送られてきたのだ。

映像には、怯えながら生活する少女の姿が映っていた。彼女は、監禁されている理由も分からず、ただひたすら助けを求めていた。

俺は、すぐに警察に通報した。警察は、映像を元に捜査を開始し、監禁されていた少女を無事保護した。犯人は、少女の父親だった。彼は、少女を性的に虐待し、監禁していたという。

事件は、大きく報道され、社会に衝撃を与えた。

俺は、少女を救うことができたことに、安堵した。しかし、同時に、自分の無力さも感じた。

世の中には、俺たちの知らないところで、多くの苦しみや悲しみが存在している。俺にできることは、ほんのわずかしかない。

それでも、俺は諦めない。これからも、真実を追い求め、社会に貢献していきたい。

「佐竹、次の企画だ。今度は、某有名大学の裏サークルらしいぞ…」

編集長の言葉に、俺はため息をついた。しかし、同時に、胸が高鳴るのを感じた。

「分かってますよ、編集長。今度は、どんな闇が待ち受けているんでしょうか…」

俺は、パソコンに向かい、新たな調査を開始した。

埃っぽい雑居ビルの三階で、今日も「裏ネタ探偵社」は、真実を追い求めている。

東京の夜は、今日も深く、そして、妖しく輝いている。