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## 令和の団地妻たち

梅雨の晴れ間が広がる東京郊外の団地。日差しはまだ弱々しく、アスファルトの照り返しも穏やかだった。しかし、この静穏な佇まいの裏側には、誰もが想像するであろう、穏やかな日常とはかけ離れた熱が渦巻いていた。

団地の一室。遮光カーテンの隙間から漏れる光が、部屋の湿り気を強調しているようだった。織田沙織（45歳）は、ソファに深く腰を下ろしていた。結婚して20年。夫との関係は、もはや空気のような存在だった。二人きりの食卓、交わされる最低限の言葉。セックスレスという言葉が、まるで自分たちのためにあるのではないかとさえ思うほど、それは日常の一部となっていた。

「また、そんな顔して」

夫の忠彦（47歳）が、新聞から顔を上げた。その声には、もう愛情も、ましてや欲望も感じられなかった。沙織はため息をついた。40代。鏡に映る自分は、かつての輝きを失い、肌にはうっすらとシミが、髪には白髪が混じり始めていた。それは、社会が「熟女」と呼ぶ年代に突入した現実の証だった。

「別に。ちょっと、疲れてるだけ」

沙織はそう答えるのが精一杯だった。本当は、疲れているのは精神だった。満たされない欲求、日々の単調さ、そして何よりも、自分自身が「女」として見られなくなったことへの虚しさ。

そんな時、SNSで繋がった「サークル」の存在が、沙織の日常に一筋の光をもたらした。そこは、同じような悩みを抱える女性たちが集う、秘密のコミュニティだった。運営者は「リフレッシュ」と名乗り、言葉巧みに女性たちの心の隙間を埋めていった。

「皆様、こんにちは。リフレッシュです。今日も、あなたの心と体を癒やす時間をご提案させていただきます。」

リフレッシュの投稿は、いつも甘く、優しく、そしてどこか危険な香りを漂わせていた。今日のテーマは「満たされない夜を、満たす夜へ」。添付された写真には、夜景をバックにしたカップルのシルエットが映っていた。

沙織は、胸が高鳴るのを感じた。この「サークル」には、「マリア」と名乗る女性もいた。今藤真理子（42歳）。彼女もまた、夫との関係に悩む一人だった。そして、沙織とはまた違った意味で、満たされない渇きを抱えていた。

「ねえ、沙織ちゃん。今日の夜、予定ある？」

LINEの通知が鳴った。マリアからだった。沙織は、夫が仕事で遅くなると知っていた。

「ううん、特に。どうしたの？」

「実はね、新しいお店を見つけちゃったの。すごい、雰囲気いいのよ。一人じゃちょっと入りにくいから、一緒に行かない？」

「どこ？」

「秘密。でも、きっと沙織ちゃんも気に入ると思うわ。」

沙織の心に、期待と不安が入り混じった感情が芽生えた。この「サークル」は、単なる情報交換の場ではなかった。そこでは、現実から逃避し、一時的な快楽を求める人々が集まっていた。そして、その誘いは、いつも誘惑的だった。

その夜、沙織はマリアと待ち合わせた。指定された場所は、雑居ビルの奥まった場所にある、隠れ家のようなバーだった。薄暗い照明、ジャズの流れる店内。そこには、静かな興奮が満ちていた。

「うわぁ…すごい、おしゃれ。」

沙織は感嘆の声を漏らした。マリアは、艶やかな黒髪を揺らし、嬉しそうに微笑んだ。彼女の胸元からは、豊満な谷間が覗いていた。沙織は、思わず視線を奪われた。

「でしょ？ね、座って座って。」

マリアは、奥の席に沙織を促した。テーブルには、色とりどりのカクテルが並べられていた。

「今日は、私にご馳走させて。それにしても、沙織ちゃん、最近ますます綺麗になったんじゃない？」

マリアの言葉に、沙織の頬が微かに赤らんだ。夫から、そんな言葉をかけられたのはいつ以来だろうか。

「そんなことないわよ。」

「ううん、本当よ。なんか、そういう…生命力みたいなものが、以前より増したっていうか。」

マリアは、沙織の目をじっと見つめた。その視線は、単なる友人としてのそれではなく、もっと深い、異性としてのそれに近かった。

「マリアちゃんは、いつも綺麗だよ。その…スタイルも、羨ましいくらい。」

沙織は、マリアの胸元に視線を滑らせた。Iカップと聞かされていたが、実際に見ると、その迫力に圧倒された。一方、沙織もHカップの爆乳を誇っていたが、マリアのそれに比べると、どこか控えめに見えた。

「あら、ありがとう。でも、これ、結構大変なのよ。」

マリアは、わざとらしく胸元を掻き上げた。その仕草に、沙織はドキリとした。

「そんなことないわ。でも…この間、リフレッシュさんの投稿で見たんだけど、四十代の女性の五人に一人くらいが不倫してるらしいわね。」

沙織は、思い切って口にした。この話題は、この「サークル」では、タブーでありながらも、常に人々の関心を集めるものだった。

「あら、そうなんだ。意外と多いのね。」

マリアは、肩をすくめた。その表情には、一切の驚きや罪悪感はなかった。むしろ、どこか満足げな響きがあった。

「でも、仕方ないんじゃない？だって、私たち、満たされてないもの。心も、体も。」

マリアの言葉は、沙織の心の奥底に響いた。まさに、その通りだった。夫との関係は、もはや儀式のようなもの。愛情も、欲望も、そこには存在しなかった。

「そうよね…。でも、どうすればいいのか、わからない。」

沙織は、絞り出すような声で言った。

「どうすればいいか、わからない？ふふ。」

マリアは、コクリとグラスに残ったカクテルを飲み干した。そして、沙織の手に、自分の手を重ねた。その手は、驚くほど温かかった。

「簡単よ。満たしてあげればいいの。自分を、そして…誰かの欲求を。」

マリアの言葉は、沙織の全身を駆け巡った。その視線は、もう友人のそれではなかった。そこには、明らかな誘惑があった。

「誰かの…欲求？」

「そう。例えば…あなたとか、私とか。」

マリアは、沙織の指先をゆっくりと撫でた。その感触は、沙織の全身に電流を走らせた。

「だって、私たち、まだ若すぎるもの。40代なんて、まだまだこれからなのに、こんなところで終わるなんて、もったいないわ。」

マリアの言葉には、確信があった。そして、その確信は、沙織の内に秘められた欲望に火をつけた。

「でも…」

「いいのよ。これは、私たちだけの秘密。誰にも言わない。そして、誰も傷つけない。」

マリアは、微笑んだ。その微笑みは、天使のようでもあり、悪魔のようでもあった。

「この後、どこか…静かなところ、行かない？」

マリアは、沙織の耳元で囁いた。その吐息が、沙織の首筋をくすぐった。沙織は、抗うことができなかった。夫への罪悪感、社会的な道徳観。それら全てが、マリアの熱い視線と、甘い誘惑の前には、色褪せてしまった。

「…うん。」

沙織は、震える声で答えた。

その夜、二人は団地の近くにある、古いが手入れの行き届いたアパートの一室へと向かった。そこは、マリアが密かに借りている部屋だった。薄暗い部屋には、ベッドが一つ。それ以外は、何もない、ただそれだけの空間だった。

「さあ、沙織ちゃん。まずは、リラックスしましょう。」

マリアは、沙織の肩に手を置いた。そして、ゆっくりと、沙織のブラジャーのホックに指をかけた。

「あっ…！」

沙織は、息を呑んだ。久しく、誰かに触れられるという経験がなかった。しかも、その触れ方は、あまりにも官能的だった。

「大丈夫。怖がらなくていいわ。」

マリアは、沙織の耳元で囁いた。その声は、まるで魔法のようだった。

マリアは、沙織のHカップの胸を、惜しみなく愛撫し始めた。その指先は、驚くほど優しく、しかし、確かな力強さを持って、沙織の敏感な乳首を弄んだ。

「…っ！や、やめて…！」

沙織は、抵抗するような声を上げたが、その声は、快楽への歓喜に満ちていた。マリアは、沙織の反応を楽しみながら、さらに執拗に、沙織の胸を揉みしだいた。

「やめないわよ。だって、沙織ちゃん、気持ちいいんでしょ？」

マリアは、沙織の顔を覗き込んだ。沙織の瞳は、潤んで、蕩けていた。

「…っ、ん、んん…」

沙織は、声にならない声を漏らした。マリアは、沙織の口元に顔を寄せ、優しく唇を重ねた。そのキスは、甘く、そして情熱的だった。

「ふふ、可愛い。」

マリアは、沙織の唇から離れ、今度は沙織の首筋に顔を埋めた。そして、そこを優しく、しかし、執拗に吸い始めた。

「…っ、ぁ…」

沙織の体は、まるで電気に打たれたように震えた。40代、セックスレス、欲求不満。それらの言葉が、一瞬にして吹き飛んだ。

「…マリア、ちゃん…」

沙織は、マリアの名を呼んだ。その声には、以前の虚しさや不安は、もう微塵も感じられなかった。そこには、ただ純粋な、そして抑えきれない欲望だけがあった。

マリアは、沙織の体をゆっくりとベッドに横たえた。そして、沙織のワンピースを、ゆっくりと、しかし、確実な手つきで、下へとずり下げていった。

「さあ、沙織ちゃん。今日は、あなたを、思いっきり満たしてあげる。」

マリアの瞳は、欲望に燃えていた。その視線は、沙織の全身を舐めるように見つめていた。沙織は、その視線に、恥ずかしさと、そして、それ以上の興奮を感じた。

「あなたも…私を、満たして。」

沙織は、絞り出すような声で言った。

その夜、二人の間には、抑えきれない情熱が燃え盛った。団地の静寂を破るかのような、激しい吐息と喘ぎ声。それは、40代の女性たちが、長年抱え込んできた、満たされない欲望の叫びだった。

沙織は、マリアのIカップの胸に顔を埋め、その豊かな谷間を貪った。マリアは、沙織のHカップの爆乳を、両手で包み込み、その重みを存分に味わった。

「…っ、あぁ、もっと…！」

「…ん、んん…！」

二人の女性は、互いの体を貪り尽くした。それは、性別や社会的な規範を超えた、純粋な欲望のぶつかり合いだった。

夜が明ける頃、二人は疲れ果てていたが、その顔には、満足感と、そして、どこか解放されたような輝きがあった。

「…ごめんね、私ばっかり。」

沙織は、マリアにそう言った。

「いいのよ。私も、すごく楽しかった。また、やろうね。」

マリアは、沙織に微笑みかけた。その微笑みは、今度は、純粋な友情のそれに見えた。

団地を出る沙織の足取りは、軽やかだった。太陽の光が、眩しく目に映る。夫との関係は、何も変わらないかもしれない。しかし、沙織の心には、新しい光が灯っていた。

令和の時代。団地妻は、やはりイヤらしい。しかし、そのイヤらしさの奥には、満たされない日常に抗い、自らの欲望を肯定しようとする、力強い生命力が宿っていた。そして、そんな女性たちは、きっとあなたの近くにも、静かに、しかし、確かに、存在しているのだ。