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「まさか、こんな展開になるなんて…」

俺は、スマートフォンの画面を呆然と見つめていた。そこには、数分前に送られてきたばかりの、小さな動画ファイルが表示されている。ファイル名すら、まだ確認できていない。ただ、送信元は、紛れもない「SARA」という名前だった。

インスタグラムで知り合ったSARA。金髪、日焼けした肌、そして豊満なDカップ。まさに俺の理想を体現したような、ドストライクの女性だった。初めてDMを送った時の、あのドキドキ感は今でも鮮明に覚えている。彼女からの返信が来た時の、心臓が飛び跳ねるような高揚感。あれは、非正規雇用で日々の生活に追われる俺にとって、まさに一筋の光だった。

何度かのやり取りを経て、ついに会う約束を取り付けた。待ち合わせ場所に向かう道すがら、俺の心は期待で満たされていた。宝くじに当たったような、棚から牡丹餅のような、そんな幸福な展開が現実になる。そう信じて疑わなかった。

そして、実際に会ったSARAは、写真で見た以上に魅力的だった。太陽のように明るい笑顔、軽やかな話し方、そして何よりも、俺の視線を釘付けにするその曲線美。運命って、本当に存在するんだな、なんて、感傷に浸りそうになるくらいだった。

彼女の部屋に招き入れられた時、俺の心臓は早鐘を打っていた。少し緊張しながらも、彼女の隣に座る。彼女が微笑みかけ、俺の手を取った瞬間、世界はスローモーションになったかのようだった。

そして、ついにその時が来た。

「SARA…」

俺が彼女の名前を呼ぶと、彼女は甘く、しかしどこか挑発的な視線を送ってきた。その瞬間、俺の全身に電流が走った。

しかし、その後の展開は、俺の想像を遥かに超えるものだった。

「お、おぉ…」

彼女から漏れ出た声は、予想していたよりもずっと、ずっと、力強かった。それは、まるで野生の獣が発するような、本能的な叫びにも似ていた。

「あぁ…、うぅ…！」

俺が彼女の体を抱きしめ、さらに深く求めると、彼女の声はさらにエスカレートしていく。もはや、それは喘ぎ声や呻き声というレベルではなかった。まるで、極限の快感に身を任せるかのような、圧倒的な絶叫。

「んっ、んぁっ、ぁぁあああああ！！」

その声は、壁を震わせ、部屋中に響き渡った。俺は、あまりの迫力に、一瞬、思考が停止してしまった。まるで、メス化したライオンが、獲物を前に咆哮しているかのようだ。いや、それ以上かもしれない。

「SARA…、すごい…」

俺は、ただそう呟くことしかできなかった。彼女の、あの「おほぉ声」は、俺の想像を遥かに超えていた。これは、単なる快感の表現ではない。もっと原始的で、もっと根源的な、生命の叫びのようにすら感じられた。

俺は、彼女の圧倒的な声に、完全に呑み込まれていた。それは、恐怖でもなく、かといって、ただの興奮でもなかった。それは、未知の領域に足を踏み入れたような、不思議な感覚だった。

「この、動画…」

俺は、先ほどの彼女の言葉を思い出した。「キミも是非ともヘッドホンを当てて、この動画を観て欲しい。本気で驚くから。」

彼女が、この「おほぉ声」を録画していたというのか？ そして、それを俺に送ってきた？

恐る恐る、俺は動画ファイルを開いた。

画面には、俺が知っているSARAが映っていた。しかし、その表情は、先ほどよりもさらに恍惚としていた。そして、彼女から発せられる「おほぉ声」は、俺が体験したそれと寸分違わぬ、いや、むしろそれを凌駕するほどの迫力だった。

POV方式。彼女の視点から撮られた動画は、まるで俺自身がその場にいるかのような、圧倒的な没入感をもたらした。彼女の呼吸、汗、そしてあの、途切れることのない「おほぉ声」。それは、俺の理性を文字通り、粉々に打ち砕いた。

「…やばい…」

俺は、思わず声を発した。これは、ただの動画ではない。これは、ある種の「体験」だった。ヘッドホンから流れる音は、俺の鼓膜を震わせ、全身を駆け巡った。

「…マジで、ケダモノ声…」

俺は、SARAの言葉を噛み締めた。彼女の声は、まさに「ケダモノ声」。抑えきれない本能が、剥き出しになった声。

「…ティッシュ…」

俺は、慌てて傍に置いてあったティッシュの箱を手に取った。彼女の言葉は、冗談ではなかったのだ。

「…こりゃ、本当に慎重に見ないと…」

俺は、周囲を気にした。もし、誰かにこの声を聞かれたら…？ その想像をするだけで、背筋が凍った。

俺は、この動画を、一体どうすればいいのだろうか？

SARAは、俺に何を見せようとしたのだろうか？

彼女の、あの「おほぉ声」は、俺に何を伝えようとしていたのだろうか？

俺は、まだ、その答えを見つけられていない。ただ、ひとつだけ確かなことがある。

それは、俺の人生における、この「棚ボタ展開」が、予想外の方向へと、大きく舵を切ったということだ。

そして、俺は、この未曽有の「おほぉ声」の衝撃から、まだ立ち直れていない。

（了）