インタージェンダープロレスリング vol.2【無料エロ動画視聴/アダルトAV】

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■ 鉄と魂の絆：従僕契約プロレス

　薄暗い雑居ビルの地下へと続く階段は、湿ったカビの匂いを吸い込ませた。モニターの明滅が、踊り場に不穏な影を落としている。SNSで知り合った「鉄人」と名乗る男からの誘いは、突拍子もないものだった。

「面白そうだろ？　“非合法プロレス倶楽部”。勝てば、相手を従僕にできるって話だ」

　彼のメールは、どこか退廃的で、それでいて独特の魅力に満ちていた。非合法、従僕。それは、現実離れした響きだったが、今の私、雨宮雫にとっては、現実からの逃避という点において、妙に惹きつけられるものがあった。

　仕事は単調で、人間関係は希薄。恋人と別れ、友人との連絡も途絶え、私の人生は色褪せたモノクロームの世界になっていた。そんな時、鉄人のメールは、まるで暗闇に差す一筋の光のように感じられたのだ。

　地下の会場は、想像していたよりもずっと殺伐としていた。剥き出しのコンクリート壁、鉄骨がむき出しになった天井。中央には、ボロボロになったリングが鎮座し、その周りを、野次馬のような観客が取り囲んでいる。彼らの顔には、期待と興奮が入り混じった、しかしどこか虚無的な光が宿っていた。

　鉄人は、想像以上に大柄な男だった。鍛え上げられた肉体は、まさに鉄人の異名にふさわしい。しかし、その瞳の奥には、どこか寂しげな光が揺れていた。

「ようこそ、雨宮さん。どうだ、この雰囲気？」

　彼は、低い声で笑った。その声もまた、鉄のように重厚だった。

「…すごい、ですね」

　絞り出した声は、震えていた。

「ルールは簡単だ。リングに上がって、相手をタップアウトさせるか、リング外に転落させる。勝った方は、敗者の一切を支配できる。文字通りの従僕だ」

　鉄人は、リングサイドに置かれた色褪せた書類を指差した。そこには、確かに「従僕契約」と書かれていた。

「俺は、今日、君と戦う。君が勝てば、俺は君の従僕になる。逆もまた然りだ」

　彼は、真剣な眼差しで私を見た。私は、言葉を失った。まさか、本当に私と戦うなんて。SNSでのやり取りは、あくまでゲーム感覚だったはずなのに。

「なんで…私なんですか？」

　ようやく口を開いた声は、か細かった。

「君の、あのメールだよ。人生に飽き飽きしている、って。俺も、同じようなものだから。この場所は、そんな人間が、魂を燃やすための場所なんだ」

　鉄人の言葉は、私の心の奥底に響いた。私もまた、魂が燃え尽きかけている人間だ。

　「…わかりました」

　私は、意を決して言った。このまま何もせず、色褪せた人生を歩み続けるよりも、一度きりの激しい火花を散らした方が、よっぽどマシかもしれない。

　試合は、鉄人が先攻した。彼の動きは、重厚で力強い。しかし、どこかぎこちない。それは、プロレスの技術というよりは、感情のままにぶつかり合っているような印象だった。

　私は、必死に彼の攻撃をかわした。リングの外に転落しないよう、慎重に動いた。正直、勝てる見込みなど、ほとんどなかった。しかし、逃げ出すわけにはいかない。

　何度か、彼のパンチが私の顔面をかすめた。衝撃で、頭がくらくらする。しかし、不思議と痛みは感じなかった。むしろ、研ぎ澄まされていくような感覚だった。

　「もっと、本気で来いよ！」

　鉄人が叫んだ。その声には、焦りと、そしてどこか期待する響きがあった。

　私は、彼に突き飛ばされた。リングの外に転落しそうになる。その時、私の頭の中に、あのメールの言葉が蘇った。

「…鉄人。あなたも、本当は、誰かに従僕になりたいんじゃないの？」

　私の言葉に、鉄人は動きを止めた。彼の顔には、驚愕の色が浮かんでいた。

「…どういう意味だ？」

　「だって、あなたは、誰かに支配されたがっている。そうでもしないと、自分を保てないんじゃないの？」

　私は、リングの外から、彼を見つめて言った。

　鉄人は、しばらく黙っていた。そして、ゆっくりと、リングの上に上がった。

「…そうかもしれないな」

　彼は、呟いた。

「俺は、いつも、戦うことしか知らなかった。誰かに勝つこと、誰かを支配すること。でも、それだけじゃ、虚しいんだ」

　彼は、リングの中央で、膝をついた。

「雨宮さん…俺は…」

　その言葉を、彼は最後まで言えなかった。

　観客席から、どよめきが起こった。誰かが、鉄人を指差して叫んだ。

「おい！　あいつ、タップアウトしたぞ！」

　鉄人は、リングの上に、膝をついたまま、両手を前に突き出した。それは、紛れもない、降参の意思表示だった。

　私は、呆然と、その光景を見ていた。

　鉄人は、ゆっくりと顔を上げた。その瞳には、先ほどとは違う、穏やかな光が宿っていた。

「…俺の負けだ」

　彼は、静かに言った。

　私は、リングに上がった。鉄人の目の前で、立ち止まる。

「…従僕、ですか？」

　私の声は、震えていた。

「ああ。俺は、君の従僕だ。君が、俺に何をさせたいか、言ってくれ」

　鉄人は、まっすぐ私を見つめていた。その瞳は、もはや寂しげではなかった。

　私は、しばらく考えた。従僕。それは、一体何を意味するのか。支配すること、されること。それは、単なる力関係なのか、それとも、もっと深い、魂の繋がりなのか。

　「…まずは、あなた自身を、大切にすること。それを、約束してください」

　私の言葉に、鉄人は、ゆっくりと頷いた。

　「…約束する」

　その瞬間、会場に、静寂が訪れた。鉄人と私、そして、従僕契約。それは、単なるプロレスの試合ではなかった。それは、二つの魂が、互いの虚無を埋め合うための、新たな始まりだったのかもしれない。

　鉄人と私は、リングの上で、互いの目を見つめ合った。その瞳には、これから始まる、未知なる未来への、微かな希望が宿っていた。