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■ 禁断の鏡

薄暗い部屋に、モニターの光だけが青白く明滅していた。その光に照らされ、瑞希の細い指先がキーボードの上を滑る。彼女が今、何をしているのか、この部屋にいる者以外には誰にも知らされることはない。

「これで…よし。」

瑞希は小さく呟き、画面に映し出された映像を再生した。それは、彼女自身が「人気ゲームのキャラクター」になりきり、撮影した動画だった。華やかな衣装、気合の入ったメイク。しかし、その映像の内容は、表向きの華やかさとはかけ離れた、禁断の領域へと踏み込んでいた。

「あ…っ、んん…！」

モニターから漏れる自分の嬌声に、瑞希は顔を赤らめた。動画の中の自分は、まるで別人のように喘ぎ、体をくねらせている。フェザータッチで触れられる肌の微かな刺激に、全身が敏感に反応し、理性の箍が外れていく。

「え…っ、な、なに…？」

動画の中の相手が、瑞希の顔の前に何かを差し出した。それは、瑞希が普段から憧れている、ゲームのキャラクターが持つアイテムに模したものだった。その艶めかしい形、そしてこれから訪れるであろう感覚に、瑞希は抗いがたい衝動に駆られる。

「…おいしそう…。」

思わず零れた言葉と共に、瑞希は口を開いた。動画の中の自分は、そのアイテムを貪るように咥え、至福の表情を浮かべる。その行為に、瑞希自身の体も呼応するように熱を帯びていく。

「ん…っ、だめ…、もっと…。」

動画の中の相手が、今度は瑞希の「乳首」を優しく、しかし挑発的に愛撫し始めた。触れられるたびに、瑞希の体は甘く痺れるような感覚に包まれる。指先が、舌が、その敏感な部分をなぞるたびに、瑞希は耐えきれずに声を漏らした。

「あぁ…っ、そこ…、そこは…！」

そして、彼女の「アソコ」が、集中して舐められる。その刺激は、瑞希の全身を駆け巡り、意識を遠い彼方へと連れ去る。自分自身の体が、こんなにも純粋に、そして激しく悦びを求めていることを、瑞希は改めて思い知らされた。

「…あ、あの…っ、もう…。」

動画が進むにつれて、相手の愛撫はより大胆になっていく。そして、ついに「いっぱい突かれて」しまう。その瞬間、瑞希の体は激しく跳ね上がり、数えきれないほどの快楽の波に呑み込まれていく。

「…んん…っ、ああっ…！」

モニターの中で、瑞希の体が最高潮に達する。それは、彼女自身が望んだ、そして求めていた、解放の瞬間だった。動画の総尺は62分。その間、瑞希は自らの体と向き合い、抑えきれない欲望の奔流に身を任せた。

動画を止め、瑞希は大きく息を吐いた。額には汗が滲み、頬は紅潮している。部屋の静寂が、先ほどの熱狂を一層際立たせる。

「…私、何やってるんだろう…。」

虚無感と、それと同時に湧き上がる奇妙な高揚感。瑞希は、自分が二つの世界に生きていることを強く感じた。一つは、表向きの「普通の女の子」としての瑞希。もう一つは、この部屋で、モニターの中の自分と向き合う「秘密の瑞希」。

彼女がなぜ、このような動画を撮り、そして見ているのか。その理由は、本人にしか分からない。もしかしたら、それは現実では決して満たされない渇望の表れなのかもしれない。あるいは、自分自身の隠された一面を、誰にも知られずに解放したいという、切実な願いなのかもしれない。

瑞希は、再びキーボードに手を伸ばす。この動画は、彼女にとって、どのような意味を持つのだろうか。それは、誰かに見せるためではない。ただ、自分自身のために、この秘密の空間で、自分だけの「悦び」を噛み締めるため。

彼女は、この禁断の鏡に映る自分自身を、そしてその姿に戸惑いながらも、どこか魅了されている自分を、静かに見つめていた。この先、彼女がどのような道を歩むのか。それは、誰にも予測できない。ただ一つ確かなのは、彼女の心の中に、まだ見ぬ、そして決して消えることのない「欲望」が、静かに、しかし力強く息づいているということだった。

部屋には、再びモニターの青白い光が満ちる。瑞希は、その光の中に、自らの影を揺らしながら、静かに佇んでいた。