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■ 秒速決断の女神たち

都会の空を切り裂くような、鋭いピアノの旋律が、都会の夜景を背景に響き渡る。雑踏の喧騒とは無縁の、洗練されたラウンジバー「ステラ」の片隅。そこは、仕事もSEXも「デキる」と評される、選ばれし女たちの聖域だった。

茜（あかね）は、グラスを傾けながら、窓の外に広がるネオンの海を眺めていた。彼女は、最新テクノロジーを牽引するスタートアップ企業の敏腕CEO。その判断力は、数秒で数億円の取引を成立させるほど、驚異的だった。そして、その判断力は、プライベートにおいても、一切の迷いを許さない。

「ねぇ、茜。次のプロジェクト、どうなった？」

隣に座っていたのは、雑誌編集長を務める美月（みづき）だ。彼女もまた、表舞台では華やかさを振りまきながら、裏では激務をこなす、まさに「デキる女」。

「決まったわ。あの案件、リスクは高いけど、リターンも大きい。明日には契約書にサインさせる。」

茜の言葉に、美月は薄く微笑んだ。その微笑みには、同意と、ほんの少しの羨望が混じっているように見えた。

「さすが、茜。私はまだ、締め切りに追われてるわ。まぁ、このスリルも嫌いじゃないんだけど。」

美月は、タバコの煙を吐き出しながら、指先でグラスの縁をなぞった。

「でも、たまには息抜きも必要よ。今夜、誰か誘ってるんでしょ？」

美月は、茜の胸元に視線を走らせた。彼女の着るシルクのドレスは、その胸の谷間を大胆に、しかし上品に晒している。

茜は、くすりと笑った。

「ふふ、あなたも聞きたいことがあるんでしょ？」

二人の間には、言葉にならない、しかし確かな理解があった。それは、互いの仕事への情熱、そして、感情に流されない、合理的な思考回路。そして、その合理性は、SEXという領域においても、例外ではなかった。

「今日の夜は、ちょっと忙しいの。でも、君なら、私の時間を無駄にはしないんでしょ？」

茜は、美月に向けた言葉を、そのまま自分自身にも言い聞かせるように、静かに口にした。

「ええ、もちろん。私と君なら、きっと秒速で、ね。」

美月は、挑発的な笑みを浮かべた。

「即フェラ？OKよ。即挿入？それもOK。だって、時間はお金と同じくらい貴重なんだもの。」

茜は、グラスに残ったワインを飲み干した。

「そう、まさにそれ。無駄な駆け引きなんて、時間の浪費。欲しいものは、すぐに手に入れる。それが、私たちの流儀。」

「即イッちゃう？ソーリー！って、言いたいところだけど、今日はちょっと違うかも。」

美月は、悪戯っぽい表情で言った。

「今日のSEXは、残業手当もらっちゃおうかなぁ？なんてね。」

茜は、その言葉に、思わず噴き出した。

「ははは、美月、あなたって本当に面白いわ。」

「だって、仕事もSEXも、全部全うしたいんだもん。中途半端は嫌いなの。」

「私もよ。だから、今夜は、新しいパートナーを見つけに行こうかと思ってる。」

茜は、立ち上がり、ドレスの裾を優雅に持ち上げた。

「新しいパートナー？あら、それは楽しみね。どんなタイプ？」

「そうね…」

茜は、少し考えた。

「理性的で、無駄な会話はしない。そして、何よりも、私の時間を尊重してくれる人。」

「それって、つまり、私たちみたいなタイプ？」

「そうね。でも、もう少し…野生的な部分もあると、もっと面白いかもしれない。」

「ふふ、野生的ね。それは、刺激的だわ。」

茜は、バーの扉を開けた。夜風が、彼女の髪を優しく撫でた。

「さて、今夜も、秒速の決断で、最高の瞬間を手に入れてくるわ。」

「行ってらっしゃい、茜。私も、後を追うわよ。」

美月は、茜の後ろ姿に、期待と、ほんの少しのライバル心を込めた視線を送った。

バーの外は、活気のある夜の街。茜は、その雑踏の中に、新たな出会いを求めて歩き出した。彼女の心には、迷いも、不安もない。ただ、確かな目標と、それを達成するための、揺るぎない決意だけがあった。

彼女は、男性の集まるバーの入り口で立ち止まった。そこで、一人の男性と目が合った。彼は、スーツを着こなし、知的な雰囲気を醸し出している。茜は、その男性に、視線で語りかけた。

「興味があるなら、こっちへ。」

男性は、茜の視線に気付き、少し驚いた表情を見せた後、ゆっくりと茜の方へ歩み寄ってきた。

「失礼ですが、あなたとお話ししても、よろしいでしょうか？」

男性の声は、低く、落ち着いていた。

「ええ、構いませんわ。でも、時間の無駄はしたくないので。」

茜の言葉に、男性は、少し戸惑った表情を見せた。

「時間の無駄、ですか？」

「そう。無駄な駆け引きや、空虚な会話は、私、苦手なんです。」

茜は、男性の目を真っ直ぐに見つめた。

「もし、私と、お互いの時間を、最大限に有効活用したいのであれば…」

茜は、言葉を区切り、男性の耳元に囁いた。

「今夜、私と、どこか静かな場所へ行きませんか？」

男性は、茜の突然の誘いに、驚きを隠せない様子だった。しかし、彼女の瞳の奥に宿る、強い意志と、魅力に、抗うことはできなかった。

「…はい。」

男性は、静かに答えた。

「あなたのような女性に、誘われるのは、光栄です。」

茜は、満足そうに微笑んだ。

「では、行きましょう。時間は、刻々と過ぎていきますもの。」

茜は、男性の手を取り、バーを後にした。彼女たちの行く先には、どんな夜が待っているのか。それは、誰にも予測できない。しかし、一つだけ確かなことは、茜にとって、そして、彼女のような「デキる女」たちにとって、時間とは、最も貴重な資源であり、それを無駄にすることは、決して許されない、ということだ。

彼女たちは、仕事においても、SEXにおいても、妥協を許さない。欲しいものは、手に入れる。そして、その過程で、一切の無駄を省く。それが、「秒速決断」という、彼女たちの生き様だった。

「今日のSEXは、残業手当もらっちゃおうかなぁ？」

茜の頭の中に、美月の言葉が響いた。彼女は、その言葉を、どこか遠い世界のことのように感じながら、夜の街を歩いていた。彼女にとって、SEXは、仕事と同じように、感情と理性が、完璧に調和した、一つの「プロジェクト」だった。そして、そのプロジェクトを、最高の結果で終えること。それが、彼女の、そして、彼女たち「デキる女」たちの、譲れないプライドだった。

街の灯りが、茜の横顔を照らし出す。その瞳は、鋭く、そして、どこか妖艶な輝きを放っていた。彼女の夜は、まだ始まったばかりだ。そして、その夜が、どんな展開を見せるのか、それは、誰にも分からない。ただ、彼女が、その夜を、後悔なく、そして、最大限に楽しむことだけは、確信できた。