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■ 揺れるマシュマロ

夕暮れ時、茜色の光が街を染め上げる頃、私はいつものように、古びた喫茶店「甘い囁き」の扉を開ける。カウンター席に座り、メニューに目を落とす。しかし、私の視線はすぐに、店の片隅に置かれた、古ぼけた写真立てへと吸い寄せられる。そこには、満面の笑みを浮かべた女性が写っていた。豊満な胸元、陶器のように滑らかな肌、そして、吸い込まれるような大きな瞳。彼女は、まさに「誰もが二度見してしまう美女」だった。

「マスター、いつものをお願いします。」

私がそう声をかけると、カウンターの奥から、白髪交じりのマスターが顔を出す。

「はいよ、お嬢さん。今日は一段と綺麗じゃねぇか。」

マスターは、私の顔をじっと見つめ、ニヤリと笑う。その言葉に、私は少し顔を赤らめる。

「ありがとうございます。でも、マスターこそ、今日も元気そうで何よりです。」

マスターは、優しく微笑み、私のためにコーヒーを淹れ始める。この喫茶店は、私にとって、特別な場所だった。それは、写真に写る女性、茜（あかね）との思い出の場所だからだ。

茜は、私の幼馴染であり、初恋の人だった。彼女は、生まれ持った美貌と、誰もが羨むほどの豊満な胸を持っていた。「ふるふる震えるマシュマロ巨乳」と、誰もが彼女をそう呼んだ。しかし、彼女の魅力は、その身体だけではなかった。優しく、明るく、そして、周りの人を大切にする心。そんな茜に、私はずっと憧れ、恋い焦がれていた。

「旦那さん、ズルイッ！」

かつて、茜が結婚した時、多くの男性がそう呟いた。茜のような美女を独り占めできるなんて、と。彼女の夫である健一さんは、ごく普通のサラリーマンだった。茜とは正反対に、目立たない、控えめな男性だった。しかし、茜は、そんな健一さんを心から愛していた。

「私ね、健一さんの、あの優しいところが好きなの。私のこと、誰よりも大切にしてくれるから。」

茜は、そう言って、いつも幸せそうに微笑んでいた。私も、その笑顔を見るたびに、胸が締め付けられるような思いだった。茜は、私の手の届かない、遠い存在になってしまったのだと、改めて実感させられた。

「…マスター、あの写真、いつまで飾ってくれるんですか？」

コーヒーを受け取りながら、私は小声で尋ねた。

「ああ、茜さんの写真かい？ お嬢さんが、この店に来るたびに、あの写真を見て、懐かしそうにするもんだからな。俺も、あの頃の茜さんの笑顔が、目に焼き付いててね。」

マスターは、そう言って、写真立てを優しく撫でた。

「茜さん、元気かな…」

私は、遠い目をして呟いた。茜は、結婚後、遠い街へ引っ越した。それ以来、連絡は途絶え、彼女の消息は分からない。ただ、この写真だけが、彼女が私の人生にいた証だった。

「お嬢さん、まだ茜さんのこと、引きずってるのかい？」

マスターは、私の心を見透かすように言った。

「…はい。だって、茜さんは、私にとって、初めての、そして、唯一の…」

言葉に詰まる。茜は、私にとって、それほどまでに大きな存在だった。

「まあ、あの頃は、お嬢さんも、茜さんに、そっくりだったからな。あの、ふっくらとした、可愛らしい顔立ち。そして、あの、控えめな、でも、しっかりと主張する…」

マスターは、言葉を濁す。しかし、私は、マスターが何を言いたいのか、理解できた。私も、茜と同じように、豊満な胸を持っていたのだ。

「…でも、私は、茜さんみたいには、なれません。」

私は、俯く。茜の美しさは、内面からも溢れ出るものだった。私には、そんな輝きは、なかった。

「そんなことないさ。お嬢さんも、茜さんと同じくらい、綺麗だよ。いや、もしかしたら、茜さん以上に、人を癒す力を持ってるのかもしれん。」

マスターは、そう言って、私の肩をポンと叩いた。

「私に、人を癒す力なんて…」

私は、信じられないという顔で、マスターを見上げた。

「そうだよ。お嬢さんの、あの、柔らかそうな、そして、温かそうな…」

マスターは、私の胸元に視線を落とし、そして、ゆっくりと顔を上げた。

「…マシュマロみたいな、胸。あれは、見ているだけで、心が和む。まさに、巨乳に癒される、至福の時間、ってやつだよ。」

マスターの言葉に、私は、驚きと、そして、かすかな喜びを感じた。自分の身体を、肯定されたような気がしたのだ。

「そ、そうなんですか…？」

「ああ。それに、お嬢さん、あの写真の茜さんと、こう、似てるんだよな。あの、ふっくらとした、丸みを帯びた、優しい曲線が。」

マスターは、写真立てと私を交互に見比べながら言った。

「…茜さんと、私が？」

「うん。だから、お嬢さんを見ていると、茜さんのことを思い出すんだ。あの頃の、明るくて、楽しかった日々を。」

マスターは、遠い目をして、続けた。

「この店に、茜さんと一緒に来ていた、若い頃の俺も、そうだったんだ。茜さんの、あの、揺れるマシュマロ巨乳に、目を奪われて、ドキドキしてたよ。」

マスターは、照れくさそうに笑った。

「…マスターにも、そんな時代があったんですね。」

私は、なんだか、マスターと茜の、秘密の会話に、少しだけ、入り込めたような気がした。

「まあ、いい思い出だよ。それに、あの頃は、今の時代と違って、こういう、健康的な、豊満な体つきが、美しさの象徴だったんだ。今でも、俺はそう思うけどな。」

マスターは、力強く頷いた。

「…ありがとうございます、マスター。なんだか、元気が出ました。」

私は、コーヒーを一口飲む。苦味の中に、ほのかな甘みを感じる。まるで、茜との思い出のようだ。

「また、いつでも、おいで。お嬢さんの、あの、揺れるマシュマロ巨乳に、癒されるのは、俺だけじゃないはずだからな。」

マスターは、いたずらっぽく笑った。

その夜、私は、家に帰って、鏡を見た。自分の胸元を、じっと見つめる。茜のように、華やかで、人を惹きつけるような美しさはないかもしれない。でも、マスターの言葉を思い出す。

「マシュマロみたい…人を癒す力…」

私の胸は、柔らかく、温かい。それは、確かに、私という人間の一部だ。そして、それは、茜が私に遺してくれた、大切な贈り物なのかもしれない。

「…ありがとう、茜。」

私は、そっと、自分の胸に手を当てる。窓の外では、街の明かりが、星のように瞬いている。

「16人全員ボインの巨乳美女大集結！！」

あの頃、茜が、友人たちと楽しそうに話していた言葉が、ふと頭をよぎる。彼女の周りには、いつも、明るくて、元気な女性たちがいた。そして、彼女たちもまた、茜と同じように、豊満な胸を持っていた。

「巨乳に癒される至福の時間をお楽しみください。」

あの頃、茜が、誰かが言った言葉を、繰り返していた。あの頃は、それが、ただの、冗談のように聞こえていた。しかし、今、私は、その意味を、少しだけ、理解できる気がする。

私の胸は、まだ、少し、不安に揺れている。しかし、その揺れは、恐怖ではない。それは、希望のような、温かい揺れだった。

いつか、私も、茜のように、誰かを癒せるような、そんな存在になれるだろうか。

私は、まだ、答えを知らない。でも、この、揺れるマシュマロ巨乳を、大切にしていこう。そして、いつか、茜のような、温かい笑顔を、誰かに届けられるようになりたい。

喫茶店「甘い囁き」の扉は、静かに閉まる。しかし、私の心の中では、茜の笑顔と、マスターの言葉が、温かく響き続けていた。そして、私の胸は、静かに、しかし、確かに、揺れていた。まるで、未来への、希望のように。