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■ 夫婦の執念、子宝への道

結婚して二年、穏やかな日常の中に、静かな焦りが影を落としていた。我和京花（きょうか）は、子供を授かることを誰よりも望んでいた。しかし、努力は報われず、妊娠検査薬の白い棒を見るたびに、胸が締め付けられるような感覚に襲われる日々が続いていた。

「もう、どうしたらいいのかしら…」

京花は、そう言って俯いた。その横顔に、諦めの色が滲んでいるのを見て、俺は胸が痛んだ。

「大丈夫だよ、京花。きっと、きっと授かるさ。」

努めて明るく言ったが、声が震えているのを俺は誤魔化せなかった。

そんなある日、京花が、まるで閃いたかのように俺の顔を上げた。その瞳には、今まで見たことのないような強い光が宿っていた。

「ねえ、あなた。私、考えたの。」

「考えたって？」

「妊娠確率を上げる方法、見つけたかもしれない。」

京花が語り出したのは、ある種の「妊活法」だった。それは、京花自身が「濃厚ザーメン妊活法」と名付けた、少々独特なものだった。

「朝から晩まで、あなたを焦らすの。そうして、精子を溜めて、溜めて…ドロドロに濃縮された精子を、子宮に注ぐ。そうすれば、きっと妊娠できるって思うの。」

京花の言葉に、俺は一瞬、言葉を失った。それは、あまりにも突飛な発想だったからだ。しかし、京花の真剣な表情と、その瞳に宿る切実な思いを見て、俺は否定することができなかった。むしろ、その情熱に、俺自身も突き動かされるものを感じた。

「京花…」

「お願い、あなた。私に、この方法を試させてほしいの。あなたも、辛い思いをしているのは分かってる。でも、私は諦めたくない。」

京花の懇願に、俺は頷いた。夫婦二人、同じ目標に向かって、あらゆる可能性を試す。それが、今の俺たちにできる最善のことだと思った。

こうして、京花の「濃厚ザーメン妊活法」は始まった。それは、文字通り、朝から晩まで、俺を「焦らす」日々だった。

朝、まだ眠りの淵にいる俺の耳元で、京花は甘く囁いた。「あなた、おはよう。今日の気分はどう？」その声に、指先が俺の乳首を優しく、しかし挑発的に弄び始める。まだぼんやりとした頭の中に、火花が散るような感覚が広がる。さらに、京花は腰をくねらせ、俺の顔のすぐ近くで、自らを愛撫し始めた。その艶めかしい仕草に、俺の体は急速に熱を帯びていく。

「ダメ…、京花…」

喘ぎながら、京花の手を掴もうとするが、京花はさらに俺の首筋に唇を寄せ、囁く。「ほら、あなた。まだ、出さないで。もっと、溜めて。私のため、私たちのために。」

出社前、ベッドの中で、京花は寸止めSEXを仕掛けてきた。射精寸前で、京花は意図的に動きを止め、俺の顔を覗き込む。「あと少し。もうちょっと、我慢できる？」その挑発的な眼差しと、ギリギリで抑えられている京花自身の息遣いが、俺の理性をさらに揺さぶった。

昼休み、会社で一人、息を潜めていると、京花からビデオ通話がかかってくる。「あなた、疲れてない？無理しないでね。」そう言いながら、京花は画面越しに、自らの体を愛撫し始めた。パジャマを緩め、胸元を大胆に晒し、滑らかな指先が、自身の肌をなぞっていく。その官能的な光景に、俺の股間はパンパンに膨れ上がり、会社で一人、悶絶しそうになるのを必死で堪えた。京花の表情には、罪悪感のかけらもなく、ただ、俺を煽ることだけを考えているように見えた。

仕事中も、京花からのメッセージが届く。「今、何してる？」「今日の夜は、どんな風にしたい？」その度に、俺の金玉は、まるで熟した果実のように、パンパンに膨れ上がり、射精することしか考えられなくなった。京花は、俺の衝動を理解し、そして、それを最大限に引き出す術を知っていた。

仕事終わり、足早に家に帰る。ドアを開けるなり、京花が俺の腕を掴み、寝室へと引きずり込んだ。もはや、言葉は必要ない。俺は、京花の身体を貪るように求めた。彼女の温もり、柔らかな肌、甘い匂い、すべてが俺を狂わせた。

「あなた、早く…」

京花は、喘ぎながら俺を急かす。俺は、溜まりに溜まった、熱く、濃厚な精子を、一滴残らず京花の子宮の奥底に注ぎ込むことを決意していた。それは、単なる行為ではなく、俺たちの執念の結晶であり、未来への希望を託す儀式だった。

毎晩、京花は俺の精子を「特濃ザーメン」と呼んだ。その濃厚さが、我々の子供を授かるための鍵だと信じていた。京花は、俺が射精する瞬間の顔を、まるで宝物でも見るかのように見つめていた。そして、俺がすべてを出し切った後、京花は満足そうに微笑んだ。

「これで、きっと…」

その言葉を、俺は京花のお腹に手を当てながら、静かに、そして強く、心の中で繰り返した。

この妊活法は、決して楽なものではなかった。俺は、常に性的な衝動と戦い続け、京花もまた、俺の精子を溜めるために、様々な葛藤を抱えていたかもしれない。しかし、二人で力を合わせれば、どんな困難も乗り越えられると信じていた。

ある日、京花が、いつものように朝のルーティンを終え、俺の顔を覗き込んだ。その瞳に、いつものような熱意とは違う、何かが宿っていることに気づいた。

「あなた…」

京花が、震える手で、妊娠検査薬を掲げた。そこには、はっきりと、二本の線が浮かび上がっていた。

「…陽性…」

京花の言葉が、静かな部屋に響いた。俺は、その言葉を理解するのに、数秒かかった。そして、全身に、激しい感動が駆け巡った。

「京花…！」

俺は、京花を強く抱きしめた。二年の月日、数えきれないほどの希望と失望。そのすべてが、この一本の線に集約されたような気がした。

京花は、俺の胸の中で、静かに泣いていた。それは、悲しみでも、辛さでもない、喜びの涙だった。

「ありがとう、あなた。私たちの、赤ちゃん…」

俺は、京花のお腹にそっと手を当てた。そこには、確かに、新しい命が宿っている。京花の「濃厚ザーメン妊活法」は、奇跡を起こしたのだ。

それからの日々は、一変した。俺は、京花を大切に想い、彼女の体調を気遣った。京花も、お腹の赤ちゃんを慈しむように、穏やかな笑顔を浮かべるようになった。

「あなた、この子に、どんな名前をつけようかしら。」

京花は、幸せそうに俺に尋ねた。

「そうだね。二人で、じっくり考えよう。」

俺は、京花の手を握りしめた。もう、孤独な戦いではない。二人で、新しい家族を築いていく。京花の独特な妊活法は、確かに、我々の人生に、かけがえのない宝物をもたらしてくれたのだ。

これから、この子と、どんな人生が待っているのだろうか。俺は、京花と共に、その未来に、胸を躍らせていた。