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■ 湯けむりの夜に仕掛けられた甘い罠

秋も深まり、空気が澄み渡る頃。吾郎は、会社の同僚である和田夫婦、そして柳田夫婦の四人で、山奥の静かな温泉宿にやってきていた。窓の外には、色づいた木々が夕日に染まり、幻想的な景色が広がっている。部屋の窓を開けると、ひんやりとした空気が肌を撫で、旅の疲れがじんわりと癒えていくようだった。

「ふぅ、やっぱり温泉は最高ね！」

和美は、湯上りの髪をタオルで包みながら、満面の笑みを浮かべた。彼女の夫である吾郎は、そんな和美の姿に目を細める。二人は結婚して5年になるが、今でも妻の輝きは色褪せない。むしろ、年を重ねるごとに魅力が増していくようだと、吾郎は常々感じていた。

一方、隣の部屋では、柳田夫婦の陽気な笑い声が微かに聞こえてくる。亮介と裕子は、吾郎たちとはまた違った、軽快で人懐っこい夫婦だ。彼らとの旅行はいつも賑やかで、気兼ねなく楽しめる。

夕食を終え、浴衣姿で部屋に戻ると、和美の様子がいつもと少し違っていた。湯加減がちょうど良く、体の芯から温まったせいか、彼女の瞳には普段よりも艶っぽい光が宿っている。

「ねえ、吾郎さん。なんか、体がポカポカしてきて、ドキドキしちゃう…」

和美は、吾郎の腕にそっと寄り添い、甘えた声で囁いた。その声には、明らかな誘惑が含まれている。吾郎は、彼女の吐息に胸を高鳴らせながら、その意図を察した。

「和美…どうしたんだ？そんなに興奮して。」

「だって、こんな素敵な温泉宿で、あなたと二人きりなんだもん。それに…」

和美は、言葉を区切り、吾郎の耳元に唇を寄せた。

「隣の部屋に、柳田さんたちがいるでしょ？なんか、そういうの、ドキドキしない？」

吾郎は、和美の突飛な発想に苦笑したが、彼女の熱っぽい視線に、自分もまた惹きつけられていくのを感じた。和美は、時折、大胆で奔放な一面を見せる。それが、吾郎を飽きさせない魅力の一つだった。

「隣にいるからって、どうしたいんだよ？」

「ふふ、決まってるじゃない。あなたと、もっと…こう…」

和美は、吾郎の顔を覗き込み、さらに甘い声で続けた。

「ねえ、吾郎さん。今夜は、和田夫婦に聞こえるくらい、大きな声で、あなたを求めてもいい？」

その言葉に、吾郎は息を呑んだ。和美の「エロモード」が全開になったのだ。彼女は、望むものが手に入るまで、どこまでも大胆になる。そして、その「望むもの」とは、しばしば吾郎の精液だった。

「和美…本気で言ってるのか？」

「うん！だって、あなたしか欲しくないんだもん。こんな夜は、あなたにたっぷりと私を抱いてほしいの。それに…」

和美は、いたずらっぽい笑顔を浮かべた。

「隣の亮介さんたちに、私たちの仲の良さを、いや、もっと深いところを見せつけてあげたいんだもん。」

吾郎は、妻の予想外の企みに、一瞬戸惑った。しかし、彼女の瞳に燃えるような欲求を見出した時、吾郎の男としての本能が疼いた。そして、彼女の言葉の裏に、ある「目的」があることに気づき始めた。

（これは、和美の単なる気まぐれではない。もしかしたら、彼女も…）

吾郎は、自分の中に秘めていた、ある計画を思い出した。それは、この温泉旅行を機に、ある「仕掛け」を実行しようという、大胆なものだった。そして、和美のこの「エロモード」は、その計画の絶好の「きっかけ」になり得る。

「わかったよ、和美。君の望む通りにしよう。」

吾郎は、静かに頷いた。和美は、吾郎の承諾に、歓喜の声を上げた。

「やった！吾郎さん、大好き！」

和美は、吾郎に飛びつき、情熱的なキスを交わした。部屋の空気は、一気に熱を帯びていく。

その夜、部屋のドアは少しだけ開け放たれた。湯けむりと共に、和美の嬌声が、静かな夜の闇に響き渡った。

「あぁ…吾郎さん…もっと…もっと強く…」

「和美…君は本当に…」

二人の熱っぽいやり取りは、隣の部屋にまで届いていることだろう。吾郎は、和美の喘ぎ声に身を任せながら、心の中で静かにカウントダウンをしていた。

（今だ…）

和美は、言葉にならない吐息を漏らしながら、吾郎の首に絡みついた。その全身は、興奮と熱気で震えている。

「吾郎さん…私を…満たして…」

吾郎は、妻の切実な願いに応えるように、さらに深く、彼女の奥へと進んでいった。

「和美…君は…俺だけのものだ…」

和美の喘ぎ声は、次第に大きくなり、まるで音楽のように、夜の静寂を切り裂いた。それは、単なる快楽の叫びではなく、ある「合図」でもあった。

隣の部屋では、柳田夫婦も、この部屋から聞こえてくる異常なまでの熱気に、訝しげな顔をしていた。

「ねえ、亮介さん。和田さんたちの部屋、なんかすごいことになってない？」

裕子が、心配そうに亮介に尋ねた。亮介は、耳を澄ませながら、頷いた。

「ああ…なんか、すごいな…」

亮介は、和田夫婦とは以前から親しくしていた。吾郎は、寡黙で冷静な男だが、和美となると、いつも以上に熱くなることを知っていた。しかし、今回の和美の様子は、いつもとは比べ物にならないほど大胆だ。

「大丈夫かな…？」

裕子が、さらに不安げな表情を浮かべた。

その時、部屋のドアが、さらに大きく開かれた。そして、予想外の人物が、二人の前に現れた。

「柳田さん。すみません、急にお邪魔して。」

現れたのは、亮介の妻、裕子だった。彼女は、浴衣姿で、少し乱れた髪をしている。しかし、その瞳には、普段の明るさとは違う、ある種の決意が宿っていた。

「裕子さん？どうしたんですか、こんな時間に？」

亮介は、突然の妻の登場に驚きを隠せない。

「あのね、亮介さん。私、今から…」

裕子は、言葉を言い淀み、亮介の顔をまっすぐに見つめた。

「亮介さん、今夜、私を抱いてください。和田さんみたいに、もっと…激しく。」

亮介は、裕子の突然の告白に、目を丸くした。妻が、そんなことを言い出すなんて、全く予想していなかった。

「裕子…どうしたんだ？何かあったのか？」

「いいから、お願い。今夜は、あなたに、私を…」

裕子は、亮介の腕にそっと触れた。その指先には、微かな震えがあった。

亮介は、妻の真剣な眼差しに、戸惑いながらも、ある種の覚悟を決めた。そして、隣の部屋から聞こえてくる、和田夫婦の熱い声が、裕子の言葉を後押ししているように感じた。

「わかったよ、裕子。今夜は…君の望む通りにしよう。」

亮介は、裕子の言葉に、静かに頷いた。

その夜、和田夫婦の部屋からは、依然として熱っぽい声が響き渡っていた。しかし、それだけではなかった。隣の柳田夫婦の部屋からも、普段は聞かないような、情熱的な声が、夜の帳に溶け込んでいった。

吾郎は、和美の背中に額を押し付けながら、満足げな微笑みを浮かべていた。彼の計画は、完璧に遂行されつつあった。

（これで、計画は成功だ。和美も、きっと満足してくれるだろう。）

吾郎の計画とは、彼が普段から抱いていた、ある「願望」を実現するためのものだった。それは、夫婦の絆をさらに深めるため、そして、お互いの「欲望」を解放するための、大胆な試みだった。

和美が、隣の部屋に聞こえるようにセックスを要求したのは、単なる気まぐれではなかった。それは、吾郎が仕掛けた「合図」であり、和美もまた、その「仕掛け」に乗り、吾郎の計画を後押ししていたのだ。

彼女は、吾郎の「仕掛け」の意図を理解し、自らもまた、その「仕掛け」の一部となっていた。彼女の「エロモード」は、吾郎の計画を成功させるための、最も効果的な「武器」だったのだ。

そして、柳田夫婦。彼らもまた、この「仕掛け」に巻き込まれることになった。しかし、それは、単なる「巻き込み」ではなかった。亮介は、裕子の真剣な願いを聞き入れ、妻との関係をさらに深めようとしていた。

湯けむりの夜は、静かに更けていった。部屋に響き渡る熱い声は、次第に収まり、夜の静寂が戻ってくる。しかし、この夜、この温泉宿で、四人の男女の間に、新しい「関係」が芽生えていた。

それは、秘密の共有であり、互いの欲望を解放し合う、甘く危険な「一夜の誓い」だった。

吾郎は、和美の寝息を聞きながら、静かに目を閉じた。彼の計画は、完璧に成功した。この夜の出来事は、彼ら四人の人生に、新たな彩りを添えることになるだろう。

そして、この温泉旅行の思い出は、彼らの心に、いつまでも、甘く、そして刺激的な記憶として刻み込まれることだろう。湯けむりの夜に仕掛けられた、甘い罠は、彼らを、より深く、そしてより熱い関係へと誘い込んだのだ。