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■ 陽だまりの午後、甘い香りの罠

新妻のサオリは、近所の公園のベンチに腰を下ろし、持参した麦茶のペットボトルを傾けた。生後８ヶ月の娘、ハルカは、彼女の膝の上で穏やかな寝息を立てている。新生活にも慣れ、ようやく子育ての日常に少しずつ余裕が出てきた頃だった。

「あら、サオリちゃん、こんにちは！」

明るい声に顔を上げると、３人の女性がこちらに歩み寄ってきた。彼女たちは、サオリが保育園の入園説明会で知り合った、いわゆる「ママ友」だった。皆、サオリよりも少し年上で、育児経験も豊富に見える。中心にいたのは、派手なメイクにゴージャスなワンピースをまとった、ひときわ華やかな女性、ユミさんだった。

「こんにちは、ユミさん。皆さん。」

サオリは控えめに挨拶を返した。ユミさんを始め、隣にいたクールな雰囲気のミナさん、そしてふくよかで穏やかな表情のケイコさん。彼女たちとは、数回顔を合わせた程度で、まだ深い話をしたことはなかった。

「ハルカちゃん、可愛いわねぇ。いい子に寝てる。」ケイコさんが優しく声をかけた。

「ありがとうございます。やっと寝てくれるようになって…」サオリは苦笑した。

「子育てって大変だけど、こういう可愛い寝顔を見ると疲れも吹っ飛ぶわよね。」ミナさんが静かに微笑んだ。

「そうそう！でもね、サオリちゃん、たまには息抜きも大事よ？ 一人で抱え込んじゃダメよ。」ユミさんがサオリの肩に軽く手を置いた。その手つきは、どこか親しげで、サオリの心を温かくした。

「そうですね…」

「ねえ、今日、この後って何か予定ある？」ユミさんが、いたずらっぽい笑みを浮かべて尋ねた。

「いえ、特に何も…」

「じゃあ、うちでちょっとお茶でもどう？ 新しいお菓子買ったのよ。あなたにも味見してほしいわ。」ユミさんは、まるでサオリを誘うのが目的だったかのように、畳み掛けるように言った。

サオリは少し戸惑った。初めて誘われたし、３人のママ友と二人きりになるのは少し緊張する。しかし、ユミさんの屈託のない笑顔と、他の二人の穏やかな視線に、断る理由も特に見当たらなかった。

「ありがとうございます！ ぜひ、お邪魔させてください。」

ユミさんの自宅は、サオリの想像していたよりもずっと豪華だった。広々としたリビングには、モダンな家具が並び、随所にセンスの良さが光る。テーブルには、色とりどりのスイーツと、色鮮やかなフルーツが並べられていた。

「どうぞ、遠慮しないで。」ユミさんが、サオリをソファに促した。

お茶を飲みながら、彼女たちとの会話は弾んだ。育児の悩み、夫の愚痴、そして近所の噂話まで。サオリは、彼女たちのオープンで率直な物言いに、少し驚きながらも、次第にリラックスしていった。

「サオリちゃんって、旦那さん、どんなお仕事？」ユミさんが、ふと尋ねた。

「主人は、IT系の会社で働いています。在宅勤務が多いので、私も助かっています。」

「へえ、いいわねぇ。うちの旦那なんて、全然協力的じゃないんだから。」ユミさんが、ため息をつきながら言った。

「うちもですよ。最近、全然構ってくれないんです。」ケイコさんが、それに続いた。

ミナさんも、静かに頷いた。

「女だって、たまにはドキドキしたいじゃない？ 旦那に刺激がないと、つまらないわよね。」ユミさんが、意味深な笑みを浮かべた。

その言葉に、サオリは少しドキッとした。彼女たちの会話は、次第に子供の話から、夫婦関係、そして「刺激」といった、より大人びた話題へと移っていった。

「でも、サオリちゃん、まだまだ若いんだから、そんなに気疲れしなくてもいいんじゃない？」ユミさんが、サオリのグラスにワインを注ぎながら言った。「たまには、自分にご褒美あげないと。」

「ご褒美…ですか？」

「そうよ。ねえ、私たち、今日はちょっとだけ、童心に帰ってみない？ 子供たちがお昼寝してる間に、ちょっとだけ…」ユミさんの目が、キラキラと輝いた。

その瞬間、サオリの背筋に、ゾクゾクとした感覚が走った。彼女たちの表情が、先ほどまでの穏やかさとは明らかに違う、妖艶な色を帯びているように見えた。

「…え、えっと…？」

「大丈夫よ、サオリちゃん。私たち、そういうの、全然平気だから。」ミナさんが、サオリの隣に座り、優しく微笑んだ。その微笑みは、どこか誘うような、甘い響きを帯びていた。

「いや、でも…私、まだ新妻で…」サオリが、戸惑いを隠せずに言うと、ケイコさんが、サオリの腕をそっと撫でた。

「心配しないで。私たちは、そういう秘密の遊び、得意なのよ。あなたも、きっと気に入るわ。」ケイコさんの声は、まるで蜜のように甘く、サオリの耳元で囁かれた。

ユミさんが、ソファのクッションをいくつか取り除き、床に広げた。そして、クローゼットから、セクシーなランジェリーや、大胆なデザインの衣装を取り出した。

「ほら、サオリちゃんも、何か着てみない？ 今日は、みんなで、ちょっとだけ、普段と違う自分になってみようよ。」ユミさんが、サオリに、レースのあしらわれた黒いキャミソールを差し出した。

サオリは、目の前にある光景に、ただただ呆然としていた。彼女たちが、まるで熟練したプレイヤーのように、次々と大胆な衣装を身にまとい、互いに見せ合っている。その姿は、サオリが想像していた「ママ友」のイメージとは、かけ離れていた。

「ねえ、サオリちゃん、まだ迷ってるの？」ユミさんが、サオリのすぐ近くで、肩をすくめて見せた。彼女の胸元は、大胆に開いており、その谷間は、サオリの視線を釘付けにした。

「う、ううん…でも…」

「大丈夫、大丈夫。まずは、その辺にあった、この可愛いミニスカート、履いてみたら？ きっと似合うわよ。」ケイコさんが、サオリの足元に、フリルのついた短いスカートを置いた。

サオリは、抵抗する気力も失っていた。彼女たちの、強引でありながらも、どこか包み込むような雰囲気に、抗い難い魅力を感じていたのかもしれない。あるいは、育児で疲弊しきっていた彼女の心に、甘い誘惑が、静かに染み込んでいったのかもしれない。

「ほら、サオリちゃん、こっちに来て。」ミナさんが、サオリの手を引いた。

彼女に導かれるまま、サオリは、薄暗くなったリビングの、さらに奥まった一室へと足を踏み入れた。そこには、さらに妖艶な空気が漂っていた。

その夜、サオリは、今まで経験したことのない、未知の世界へと足を踏み入れた。ママ友たちとの、予想もしなかった「遊び」は、彼女の日常を、甘く、そして危険な香りで満たしていくことになるのだった。陽だまりの午後の、穏やかな時間から一転、彼女を待ち受けていたのは、予想以上の「淫れっぷり」だった。それは、彼女にとって、驚きであり、戸惑いであり、そして、抗いがたい誘惑でもあった。