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## 団地の昼下がり、蜜の味

団地の階段を一段一段上がるにつれ、カメラマンの健太の心臓は高鳴っていた。目的地の203号室のドアが、禁断の扉に見えた。ピンポンを押すと、少し緊張した面持ちのエリカが出迎えた。

「こんにちは。健太です」

「こんにちは、エリカです。どうぞ」

部屋は生活感に溢れていた。子供のおもちゃが散らばり、洗濯物がベランダに干されている。そんな日常の風景の中に、これから非日常が入り込んでくるのだ。

「今日はよろしくお願いします」

「こちらこそ。でも、やっぱり少し緊張しますね」

「大丈夫ですよ。リラックスしてください。無理強いはしませんから」

健太はそう言いながら、部屋の隅に三脚を立て、カメラをセットした。エリカは時折、落ち着かない様子で視線を彷徨わせる。

「あの…本当に、これでいいんでしょうか」

「もちろん。エリカさんが納得して、楽しんでくれるのが一番です」

健太はプロとして、被写体の心情を第一に考えていた。今回の企画は、生活に困窮した女性を食い物にするようなものではない。彼女たちの心の隙間を埋め、ほんのひととき、現実を忘れられる時間を提供するものだと信じていた。

撮影は、ぎこちない笑顔から始まった。エリカは徐々に慣れてきたのか、大胆なポーズも取るようになった。出産後、夫との関係が冷え切っていた彼女にとって、健太の優しい言葉とカメラのシャッター音は、忘れかけていた女性としての自信を取り戻すきっかけになったのかもしれない。

次に訪れたのは、405号室。ドアを開けたのは、どこか投げやりな雰囲気のユカナだった。

「どうも。まぁ、上がってください」

部屋は整理整頓されていたが、どこか冷たい空気が漂っていた。

「今日は、よろしくお願いします」

「…よろしくお願いします」

ユカナの声は低く、まるで他人事のようだった。彼女は、夫の浮気が原因で半別居状態にあるという。家計は自分が握っているため生活には困らないが、将来への不安から今回の応募に至ったらしい。

撮影中、ユカナはほとんど笑顔を見せなかった。しかし、健太が彼女の心の奥底にある孤独に触れるような言葉をかけると、ポツリポツリと話し始めた。夫への不満、将来への不安、そして、満たされない性欲。

「…私、もう、どうしたらいいのか分からないんです」

ユカナの瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちた。健太は、そっと彼女の肩に手を置いた。

「大丈夫ですよ。あなたは、一人じゃない」

その瞬間、ユカナの表情が少し和らいだように見えた。撮影は一時中断し、二人はしばらくの間、言葉を交わした。ユカナは、健太に自分の心の闇を打ち明けることで、少しだけ救われたのかもしれない。

最後に訪れたのは、102号室。ドアを開けたのは、奈々美だった。彼女は、夫の幼○好きが発覚し、離婚を考えているという。

「…こんなこと、本当に情けないですよね」

「そんなことありません。奈々美さんは、強い女性ですよ」

奈々美は、健太の言葉に少し驚いたようだった。彼女は、今回の撮影を「お金のため」と割り切っていたが、健太の優しさに触れ、心の奥底にある感情が揺さぶられた。

撮影は、エロティックでありながらも、どこか悲しげな雰囲気で進んだ。奈々美は、時折、涙をこらえながらカメラの前に立った。彼女は、今回の撮影を通して、自分の過去と向き合い、未来への一歩を踏み出そうとしていた。

撮影を終え、団地の階段を降りる健太の心は、複雑な感情で満たされていた。今回の企画は、ただのエロティックなものではない。彼女たちの心の叫び、そして、希望の光を捉えたものだった。

健太は、今回の撮影を通して、改めてカメラマンとしての自分の役割を認識した。それは、被写体の表面的な美しさだけでなく、その内面にある感情を映し出すこと。そして、彼女たちの人生に、ほんの少しでも良い影響を与えること。

団地の外に出ると、夕日が空を茜色に染めていた。健太は、深呼吸をして、新たな気持ちで帰路についた。

（数週間後…）

「中出し巨乳団地妻」第2弾は、予想以上の反響を呼んだ。特に、ユカナと奈々美の写真は、多くの人々の心を掴んだ。彼女たちの悲しみ、そして、希望が、画面を通して伝わってきたからだろう。

健太は、今回の収益の一部を、彼女たちに寄付した。ユカナは、そのお金で離婚のための弁護士費用を捻出し、奈々美は、新しい生活を始めるための資金にしたという。エリカは、子供のために貯金した。

数ヶ月後、健太は、エリカ、ユカナ、奈々美から、感謝の手紙を受け取った。

「あの時、健太さんに会えて、本当に良かった」

「おかげで、新しい人生を歩むことができました」

「本当に、ありがとうございました」

手紙を読み終えた健太の目には、涙が浮かんでいた。彼は、自分がカメラマンとして、人々の人生に貢献できたことを誇りに思った。

団地の昼下がり、彼女たちの蜜の味は、甘く、そして、ほろ苦いものだった。しかし、それは、彼女たちが過去を乗り越え、未来へ向かって歩み出すための、大切な一歩になったのだ。そして、健太は、その瞬間を、カメラを通して見守ることができた。