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## 月影の下の団地妻たち

練馬区の、古びた団地の一角。そこには、昼間の喧騒が嘘のように静まり返った空間が広がっていた。月明かりが、無機質なコンクリートの壁に長い影を落としている。その影に隠れるように、三人の女たちが、それぞれの秘密を抱えて集まっていた。

最初に現れたのは、まおだった。二十代後半、出産したばかりのふっくらとした肢体は、まだ若い母親の瑞々しさを残している。しかし、その瞳の奥には、新たな生命を育む責任と、それ故に増す生活への不安が深く刻まれていた。キャンペーンガール時代に写真集を出版したこともあるという彼女だが、今の彼女は、あの頃の輝きとは無縁の世界に身を置いていた。夫は優しかったが、稼ぎは多くない。ましてや、小さな子供が一人、将来への金銭的な不安は、日増しに彼女の心を重くしていた。

「こんばんは。」

消え入りそうな声で、まおはそう挨拶をした。彼女が向かう先は、決して夫の知らない場所だった。アルバイトを探していた彼女の目に飛び込んできたのは、「高収入、未経験者歓迎、秘密厳守」という文字。藁にもすがる思いで飛び込んだ先は、成人向け映像作品の撮影現場だった。出演条件は全裸で出迎えること。それは、彼女が想像していた「アルバイト」とはかけ離れたものだったが、それに見合うだけの報酬があると知り、彼女は決意したのだ。

続いて姿を現したのは、沙羅。三十代前半、出産してから性欲が増したという彼女の胸元は、年齢に似合わぬほど豊かな膨らみを見せていた。しかし、その豊かな胸に反して、夫との関係は淡白だった。年の差婚である二人の間には、セックスにおける満たされない渇望が常に横たわっていた。夫は優しく、家庭を顧みる人物だったが、それは沙羅にとって物足りなかった。もっと激しく、もっと求められたい。そんな欲望が、彼女の夜を孤独なものにしていた。

「お待たせしました。」

沙羅は、少し早足でまおの隣に立った。彼女もまた、夫には打ち明けられない秘密を抱えている。病気の心配もなく、安心安全で、しかも後腐れがないという条件に、彼女は飛びついた。報酬という言葉に、彼女の心は完全に動かされていた。この不安な日々を、一気に解決できるかもしれない、という甘い誘惑に。

最後に現れたのは、ななこ。二十代前半の若妻。できちゃった婚で、バタバタと入籍し、あっという間に母親になった。家事と育児に追われる日々は、彼女の若さをあっという間に削り取っていくようだった。しかし、最近、彼女を襲った不幸は、それだけではなかった。夫の失業、そしてそれに伴う金銭的な困窮。セックスどころではない、というよりも、そんな余裕すらなくなっていた。

「ごめんなさい、遅くなりました。」

ななこは、少し顔色が悪かった。物心両面の一挙解決。その言葉に惹かれ、彼女はここに来たのだ。夫に言えないこと。でも、今の状況をどうにかしたい。その一心だった。

三人の女性は、団地の薄暗い通路をゆっくりと進んでいく。その一歩一歩に、それぞれの決意と、かすかな不安が混じり合っていた。彼女たちが向かうのは、特別な一室。そこでは、彼女たちの日常とは全く異なる時間が、静かに彼女たちを待っていた。

カメラマンの指示に従い、彼女たちは自宅のリビングに通された。そこは、どこかの家庭のリビングと変わらない、ごく普通の空間だった。しかし、これからここで繰り広げられることは、決して普通ではなかった。

「じゃあ、始めましょうか。」

カメラマンの声が、部屋に響く。まおは、深呼吸をした。キャンペーンガール時代のランウェイを歩く時の緊張とは、全く違う種類の緊張感だった。しかし、彼女の目は、もはやためらいを失っていた。子供のため、自分のため。そう自分に言い聞かせた。

まおの撮影が始まった。彼女は、カメラマンの指示通り、ゆっくりと服を脱いでいく。その肢体は、出産を経てさらに豊かさを増し、見ている者を惹きつける魅力に満ちていた。彼女の顔には、恥ずかしさとも、決意ともつかない複雑な表情が浮かんでいる。

次に撮影されたのは、沙羅だった。まおとは違い、彼女はより積極的に、そして大胆にカメラの前に立った。夫に満たされない彼女の性欲が、解放されるかのように、その肢体は躍動していた。豊満な胸は、彼女の欲望を雄弁に物語っているかのようだった。カメラマンは、彼女の迫力に満足げな笑みを浮かべていた。

最後に、ななこだった。彼女は、まおや沙羅に比べると、やはり緊張の色が濃かった。しかし、一度スイッチが入ると、その若々しさと無垢な魅力が一気に溢れ出した。家庭の不幸に押しつぶされそうになりながらも、その内には秘めた情熱が、カメラの前で静かに燃え始めた。

撮影は、順調に進んでいった。それぞれの女性が、それぞれの思いを胸に、カメラの前で自らの身体を晒していく。昼間の団地妻たちの、夫には言えない淫らな行為。それは、彼女たちの置かれた状況から抜け出し、新しい光を見つけようとする、悲痛なまでの願いの表れでもあったのかもしれない。

まおは、撮影が終わった後、静かにカメラマンに感謝の言葉を述べた。金銭的な不安が少しでも和らぐだろうか。彼女の胸には、まだ微かな希望が残っていた。

沙羅は、少しばかり満足げな表情で、部屋を出て行った。満たされなかった性欲が、少しだけ解放されたような感覚。しかし、それが本当に彼女を幸せにするのかは、まだ分からない。

ななこは、静かに、しかし力強く、部屋を出て行った。今日の収入は、家族の食卓を少しだけ豊かにしてくれるだろう。彼女の顔には、かすかな安堵の表情が浮かんでいた。

月影の下、団地の片隅で行われた、三人の団地妻たちの秘められた時間。それは、彼女たちの日常に差し込んだ、一筋の光なのか、それとも更なる闇への入り口なのか。それは誰にも分からない。しかし、確かにそこには、彼女たちの生々しいエロスと、現実への切実な願いが結晶として刻まれていた。人妻フリークだけでなく、巨乳フリークにも是非見てほしい、という言葉は、まさにその真実を突いていたのかもしれない。この撮影が、彼女たちの人生にどのような影響を与えるのかは、誰も知らない。ただ、月は静かに、彼女たちの秘密を見守るように、照らし続けていた。