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## 泡に溶けた吐息

 neonの光が滲む夜。いつものように、さなは一人、カウンター席に座っていた。グラスに注がれた琥珀色の液体が、静かに光を反射している。仕事の疲れ、PTAの煩雑さ、そして家庭という名の檻に閉じ込められたような閉塞感。それらを全て、この一杯の酒に溶かしたかった。

「あ、あの…」

不意にかけられた声に、さなは顔を上げた。隣の席に、見知らぬ男性が座っている。少し強引な印象だが、その瞳には悪意はなく、むしろ困惑の色が浮かんでいた。

「すみません、満席で…もしよろしければ、少しだけお隣、よろしいでしょうか？」

さなは一瞬戸惑った。一人で静かに飲みたい気分だった。しかし、断る理由も特にない。それに、彼の困ったような表情に、ほんの少しだけ心が揺れた。

「…どうぞ」

小さく頷くと、彼は嬉しそうに笑った。

「ありがとうございます。えいみです。こちらの方は？」

「さなです」

「さなさん。…それにしても、お一人で静かに飲んでいらっしゃるんですね。何か、あったんですか？」

えいみは、さなのグラスに目をやりながら、気遣うように尋ねた。その言葉に、さなの胸の奥が、じんわりと温かくなった。普段、誰にも弱音を吐けない。家族にさえ、笑顔を装ってしまう。そんな彼女にとって、この気遣いは、まるで渇いた大地に染み込む雨のようだった。

「…PTAの集まりで、ちょっと疲れてしまって」

ぽつりと呟くと、えいみは大きく頷いた。

「あー、PTA！わかります！私も、息子の学校の役員やってて、もう、想像を絶する人間関係の渦ですよ」

えいみの言葉に、さなは思わず笑ってしまった。彼女もまた、自分と同じように、日々のしがらみに悩む女性なのだ。

「そうなんですよね。みんな、一生懸命なんですけど、それが時々、重たくて…」

「本当に。で、今日は誰かに愚痴をこぼしたい気分だったんですが、周りはみんな楽しそうだし、なかなか言い出せなくて。さなさんも、そういう時、ありませんか？」

えいみは、さなのグラスにそっと手を添えた。その指先が、さなの指に触れる。ほんの僅かな接触だったが、さなの全身に電流が走ったような感覚が走った。

「…あります。むしろ、いつもそういう気分かもしれません」

さなは、えいみの瞳をまっすぐに見つめた。そこには、共感と、ほんの少しの誘惑が混じっていた。

「私も、仕事で部下の慰留に四苦八苦してて、もう、精神的にボロボロなんですよ」

えいみは、自分の胸元にそっと手を当てた。その仕草に、さなの視線が釘付けになる。

「Gカップ…なんですよね？」

さなが、照れくさそうに尋ねると、えいみはにっこりと笑った。

「ええ、まぁ。でも、これがあるからって、みんな、私の気持ちをわかってくれるわけじゃないんですよね。むしろ、『大変ね』って、上辺だけで終わっちゃうことが多くて」

えいみの言葉は、さなの心に直接響いた。自分もそうだ。この豊かな胸は、時として、周囲からの期待や、誤解を生むこともある。誰も、本当の自分を見てくれない。

「…わかります」

さなは、えいみの胸元に視線を落とした。その柔らかな膨らみに、無意識のうちに手が伸びそうになる。

「ね、さなさんも、なんだか、そういう…」

えいみが言いかけた言葉を、さなは遮るように、自分のグラスを掲げた。

「乾杯しましょう」

「ええ、乾杯！」

カチン、とグラスが触れ合う音が、静かな店内に響いた。二人の間には、言葉にならない共感が生まれていた。

「それにしても、さなさんのその…」

えいみが、さなの胸元に視線を移した。さなは、思わず背筋を伸ばす。

「…綺麗ですね」

えいみの言葉に、さなは驚いた。誰もそんなことを言ってくれたことはなかった。むしろ、見られることへの恥ずかしさや、戸惑いの方が強かった。

「…ありがとうございます」

さなは、俯いた。えいみの瞳が、さなの敏感な乳首を、じっと見つめているのがわかった。その視線だけで、さなの肌は微かに粟立った。

「なんだか、触ってみたくなっちゃいました」

えいみは、悪戯っぽく笑いながら、さなの腕にそっと触れた。その指先が、さなの腕を滑り落ち、徐々に胸元へと向かってくる。さなの心臓は、激しく鼓動を打っていた。

「だ、ダメです…」

さなは、か細い声で制止しようとしたが、その言葉には、拒絶の意思よりも、むしろ、期待の色が混じっていた。

「大丈夫だよ、さなさん。誰も見ていないから」

えいみは、さなのシャツのボタンに指をかけた。ゆっくりと、ひとつ、またひとつと、ボタンが外れていく。さなの胸元が露わになるにつれて、さなの体は熱を帯びていった。

「…っ！」

えいみの指先が、さなの乳首に触れた。それは、驚くほど優しく、そして、大胆だった。さなは、思わず息を呑む。今まで、誰にも触れられたことのない、敏感な部分。その刺激に、さなの全身が震えた。

「…こんなに、敏感なんですね」

えいみは、さなの反応を見て、さらに愉しげに微笑んだ。その指先が、ゆっくりと、しかし確実に、さなの乳首を愛撫していく。さなの体は、熱い熱い波に包まれた。

「…あ…」

さなは、抑えきれない吐息を漏らした。この、誰にも慰められることのない、孤独な感情。それを、えいみの指先が、優しく、しかし力強く、掻き立てていく。

「もっと…」

さなは、自分でも驚くほど、大胆な言葉を口にしていた。えいみは、その言葉を聞いて、さらに深く、さなの乳首を愛撫する。

「さなさん、本当は、もっと、こういうこと…したかったんじゃない？」

えいみの言葉が、さなの心の奥底に眠っていた欲望を呼び覚ます。そうだ。本当は、ずっと、誰かに触れてほしかった。この、満たされない虚無感を、誰かに埋めてほしかった。

「…はい…」

さなは、首を縦に振る。えいみの指先が、さなの乳首を揉みしだく。その刺激は、さなの理性を蕩かしていった。

「じゃあ、もっと、させて？」

えいみは、さなの耳元で囁いた。さなは、ただ、頷くことしかできなかった。えいみの指先が、さらに大胆に、さなの胸元を這う。さなの性欲は、まるで洪水のように、一気に噴き出した。

「…っ…ああっ…」

さなは、声にならない声を絞り出した。えいみの指先は、さなの乳首を、優しく、しかし容赦なく、責め続けた。さなは、もう、この世界から切り離されたような感覚に陥っていた。ただ、えいみの指先の感触だけが、現実だった。

「…もっと、私に、あなたを、満たさせて？」

えいみの言葉に、さなは、ただ、身を任せるしかなかった。この、泡のように儚い夜に、彼女の欲望は、静かに、しかし確かに、解き放たれていく。