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■ 輝きを求めて、奈落へ

そらの心臓は、早鐘のように鳴り響いていた。初めてのソロ撮影会。期待と不安が入り混じり、指先まで微かに震えている。会場は、古びたスタジオの片隅。薄暗く、埃っぽい空気が、彼女の胸を締め付けた。

「大丈夫、そら。これはチャンスなんだから。しっかりアピールして、次につなげるんだよ」

マネージャーのタケシは、いつものように陽気な調子で励ました。しかし、その言葉も、そらの耳には空虚に響くだけだった。デビューから一年。オーディションに落ち続け、ようやく掴んだこのチャンスも、彼女にとっては最後の望みだった。

最初の数組のカメラマンは、まだ友好的だった。ポーズの指示にも素直に応え、笑顔を振りまいた。しかし、時間は容赦なく過ぎていく。撮影会も終盤に差し掛かり、客足は鈍っていた。

「次で最後かな」

タケシがため息をついた。その言葉と同時に、ドアが開いた。現れたのは、一人の男性だった。派手なシャツに、ギラギラした瞳。レイヤと名乗った彼は、そらを見るなり、ニヤリと笑った。

「お、これが噂のそらちゃんか。写真撮らせてもらうよ」

レイヤの言葉遣いは、どこか馴れ馴れしく、そらの胸に不安がよぎった。撮影が始まると、レイヤは次第に無遠慮な指示を飛ばすようになった。

「もっと胸張ってさ。うん、いいね。こっち向いて、もっとセクシーに」

セクハラまがいの言葉に、そらの顔に赤みが差した。しかし、ここで反論すれば、このせっかくのチャンスを失ってしまう。彼女は必死に笑顔を作り、レイヤの要求に応えようとした。

「その、もう少し…」

レイヤが、そらの身体に触れようとしたその時、タケシが割って入った。

「レイヤさん、そろそろお時間です。そらも疲れてるんで」

タケシの言葉に、レイヤは不機嫌そうに舌打ちしたが、カメラを片付け始めた。そらは、安堵のため息をついた。なんとか、無事に撮影会は終わった。

「お疲れ様、そら。よく頑張ったね」

タケシに労われ、そらは楽屋へと戻った。メイクを落とし、着替えを済ませようとしたその時、ドアが乱暴に開いた。

「あれ？もう終わり？」

そこに立っていたのは、レイヤだった。焦りがそらを襲う。

「あの、もう撮影は終わったんですけど…」

「そう？でも、俺はまだ撮りたいんだよ。それに、お前、俺の言うこと聞かなかっただろ？」

レイヤの目は、先ほどよりもさらにギラついていた。そらは後ずさり、壁に背を打ち付けた。

「や、やめてください…！」

「お前、誰に口聞いてんだ？俺はお前のマネージャーと話してんだよ」

「え？」

その時、タケシが楽屋に入ってきた。しかし、彼の顔には、先ほどまでの優しさは微塵もなかった。

「そら、レイヤさんの言うことを聞きなさい。彼女は、お前を売ってくれる大事な客なんだよ」

「う、嘘でしょ…？タケシさん…！」

そらの叫びも虚しく、タケシはレイヤに肩を組まれた。

「ほら、マネージャーも理解してるだろ？お前が、俺に協力してくれたら、もっといい仕事が舞い込むんだ」

レイヤの言葉に、そらは絶望した。タケシは、彼女の弱みを握っていたのだ。そして、レイヤとグルになっていた。

「さあ、始めようか」

レイヤの悪魔のような笑みに、そらは抵抗する術もなかった。

その夜から、そらの地獄が始まった。レイヤは、タケシに弱みを握られたそらを、欲望のままに嬲り続けた。毎晩のように、そらの身体はレイヤの蹂躙に晒された。タケシは、ただ傍観しているだけだった。カメラを止めるどころか、レイヤに協力する始末。

「もっと、いい顔しろよ」

レイヤの冷たい声が、そらの鼓膜を震わせる。抵抗する力も、叫ぶ気力も失っていた。ただ、暗闇の中で、光を失った瞳で、虚空を見つめるだけだった。

「なんで…なんでこんなことに…」

彼女の頭の中を、後悔が駆け巡る。あの時、もっと強く拒否すればよかった。あの時、タケシを信じなければよかった。

「これで、お前は俺のものだ」

レイヤの言葉は、そらの心に深く突き刺さった。彼女は、ただのアイドルではなかった。レイヤの性的奴隷、そしてタケシの金儲けの道具にされてしまったのだ。

「助けて…誰か、助けて…」

しかし、彼女の叫びは、暗闇に吸い込まれていく。輝かしい未来を夢見ていた駆け出しアイドルは、今、奈落の底で、ただひたすらに、その日を耐え忍ぶことしかできなかった。

夜が明ける。また、あの悪夢のような一日が始まる。そらは、瞳に映る虚無を、静かに見つめ返した。