ひとづまと、温泉と、不倫と。其の参【無料エロ動画視聴/アダルトAV】

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■ 満たされない境界線

都会の喧騒から遠く離れた、海辺の町。古びたペンション「潮風」は、数年前からひっそりと、しかし確かに、ある種の「秘密」を抱え込んでいた。ここへ来るのは、日常の檻から解き放たれたいと願う、数人の人妻たち。今回、密着ドキュメントの第3弾となるのは、都内で会社経営をする夫と、小学校に通う息子を持つ30代後半の女性、佐倉綾香だ。

綾香は、整理整頓されたキッチンで、丁寧に野菜を刻んでいた。包丁の小気味よい音だけが、静寂を破る。夫の健一は、仕事に没頭するあまり、家ではほとんど会話がない。息子は反抗期が始まり、母親の顔色を伺うばかり。悪くない家庭、悪くない日常。だが、胸の奥底に、じりじりと広がる虚無感があった。それは、まるで乾いた土に染み込む水のように、決して満たされることのない渇望だった。

「また、旅行？」

健一は、新聞から目を離さずに言った。その声には、驚きも、咎めも、期待も、何も含まれていなかった。ただ、事務的な響きだけ。綾香は、台所の隅で、そっとため息をついた。

「うん、友達と。ちょっと気分転換にね」

「そうか。土産は期待してないから、気をつけてな」

期待していない、という言葉に、綾香の心は微かに痛んだ。健一は、彼女の「気分転換」を、どこか遠い出来事のように捉えている。いや、もしかしたら、彼女自身も、健一との関係を、どこか遠い場所へと追いやっているのかもしれない。

ペンション「潮風」へ向かう道すがら、綾香はラジオから流れる切ないラブソングに、静かに耳を澄ませていた。窓の外を流れる景色は、都会のビル群から、緑豊かな田園風景へと変わっていく。その変化が、彼女の心を少しずつ解き放っていくようだった。

「潮風」に到着すると、管理人であり、この「秘密」の主催者でもある、女主人・沙織が、温かい笑顔で迎えてくれた。彼女は、どこか神秘的な雰囲気を纏い、訪れる女たちの心の奥底を見透かすような眼差しを持っていた。

「佐倉さん、ようこそ。今回も、どうぞごゆっくり」

沙織の声は、まるで母なる海のように優しく、綾香の肩の荷を降ろしてくれた。ペンションの部屋は、シンプルながらも、海を望む大きな窓があり、潮の香りが微かに漂っていた。綾香は、スーツケースから、普段とは違う、少し大胆なデザインのワンピースを取り出した。これは、家庭では決して着ることのない服だった。

「さて、今日はお二人。」

沙織が、リビングで待つもう一人の女性を紹介した。彼女は、広告代理店で働くキャリアウーマン、高梨美咲。年齢は綾香と同じくらいだが、その表情には、洗練された大人の余裕が漂っていた。

「はじめまして。高梨美咲です。」

「佐倉綾香です。」

二人の間に、ほんの少しの緊張感が流れる。しかし、沙織が、冷えた白ワインを注ぎながら、自然な会話へと導いた。

「お二方とも、日常から少し離れて、ご自分だけの時間を見つけにいらしたのですね。」

美咲は、グラスを傾けながら、静かに頷いた。

「ええ。毎日、数字と deadline に追われる日々。たまには、自分を解放してあげないと、心が壊れてしまいそうで。」

綾香も、それに倣って頷いた。

「私も、同じです。家族のため、夫のために、毎日を懸命に生きている。でも、ふと、私は何のために生きているんだろう、と虚しくなる時があって。」

沙織は、優しく微笑んだ。

「ここでは、誰も、あなたを責めません。ここでは、あなたは「妻」でも「母」でもない。ただ、「一人の女」でいればいいのです。」

その言葉に、綾香の胸に、温かいものが込み上げてきた。夫への後ろめたさ、子供への罪悪感。それらすべてが、この「潮風」という名の聖域では、一時的に溶けていく。

翌日。朝食を済ませた二人は、沙織の案内で、近くの海岸を散歩していた。砂浜に打ち寄せる波の音、カモメの鳴き声。都会では決して聞くことのできない、自然の息遣いが、全身に染み渡る。

「こちらに来ると、いつも思います。私、なんて小さな世界に閉じこもっていたんだろうって。」

美咲が、遠くの水平線を見つめながら言った。

「そうですね。毎日、同じことの繰り返し。そこに、新しい風が吹くことは、もうないんじゃないかって、諦めかけていました。」

綾香は、波打ち際で、小さな貝殻を拾い上げた。それは、淡いピンク色をしており、まるで、彼女の内なる欲望の色を映し出しているようだった。

「あの、美咲さんは、ここで、どんな時間を過ごされるんですか？」

綾香は、少し戸惑いながら、尋ねた。

「私はね、ここでは、とにかく「自分」に正直になることを心がけているんです。普段は、周囲の期待に応えるために、自分を抑えつけていることが多いから。ここでは、誰かのためにではなく、ただ、自分のために、時間を楽しむ。そして、もし、運命的な出会いがあれば、それも、人生の彩りになるかもしれませんね。」

「運命的な出会い…」

綾香は、その言葉に、胸が高鳴るのを感じた。夫との関係は、もう何年も前から、淡い色褪せた写真のようになっていた。そこには、情熱も、ときめきも、なかった。ただ、穏やかな、しかし、どこか物足りない、安寧があった。

その夜。ペンションのバーで、二人は再び顔を合わせた。昼間とは打って変わって、照明は落とされ、ムーディーな音楽が流れている。綾香は、先ほど選んだ、少し露出のある黒いドレスを身に纏っていた。鏡に映った自分は、見慣れない、しかし、どこか魅力的な女だった。

「佐倉さん、とても綺麗ですよ。」

美咲が、微笑みながら言った。その言葉は、綾香の心を、温かく照らした。

「ありがとうございます。美咲さんも、とても素敵です。」

二人は、グラスを傾けながら、互いの人生を語り合った。夫への不満、満たされない性欲、そして、秘めたる欲望。普段は決して口にすることのない、心の奥底の叫びが、白ワインの芳醇な香りと共に、静かに、しかし、力強く、解き放たれていく。

「夫とは、もう、夫婦というより、同居人みたいなものです。会話は、事務連絡ばかり。スキンシップなんて、もう、いつからなかったのか、覚えていません。」

美咲が、ため息をついた。

「私も、似たようなものです。夫は、私を、家政婦か、子供の母親としてしか見ていないように感じます。一人の女として、見られていない、という感覚。」

綾香は、グラスに残ったワインを、一気に飲み干した。喉を焼くような熱さが、彼女の心の渇きを、一瞬だけ癒した。

「でも、ここで、こうして、自分の欲望に素直になれる時間がある。それが、私にとって、どんなに大切か…」

美咲の言葉に、綾香は深く頷いた。この「潮風」は、彼女たちにとって、罪悪感から解放され、一人の女として、輝ける場所だった。それは、決して、家庭を壊すためのものではない。ただ、自分自身を取り戻すための、一時的な、しかし、かけがえのない時間なのだ。

「ところで、佐倉さん。今夜は、どんな夜にしたいですか？」

美咲が、綾香の目をじっと見つめて、尋ねた。その瞳には、探るような、しかし、共感するような光が宿っていた。

綾香は、少しの間、沈黙した。夫への後ろめたさ。しかし、それ以上に、自分の中にある、燃え盛るような欲望。それは、長く抑えつけられ、溜まりに溜まった、マグマのようなものだった。

「私は…」

綾香は、ゆっくりと、しかし、はっきりと、言葉を紡いだ。

「私は、今夜、ただ、一人の女として、生きたい。」

その言葉と共に、綾香の心に、決意が固まった。この満たされない日常との決別。それは、決して、突然の破滅ではない。むしろ、自分自身への、愛おしい、しかし、力強い、解放の儀式なのだ。

数日後。綾香は、静かに、しかし、満たされた表情で、自宅のドアを開けた。部屋には、健一が、いつものように、新聞を広げていた。

「おかえり。」

相変わらず、事務的な声。しかし、綾香は、もう、その声に、以前のような虚しさを感じなかった。

「ただいま。」

綾香は、微笑んだ。その微笑みには、自分だけが知っている、秘密の輝きが宿っていた。一泊二日の旅は、彼女に、「妻」という役割から解き放たれ、「一人の女」として、自分自身と向き合う時間を与えてくれた。それは、決して、家庭を否定するものではない。むしろ、自分自身を肯定し、より強く、より豊かに生きるための、エネルギーを充電する時間だった。

彼女の胸には、もう、あの渇望はなかった。代わりに、確かな、そして、満ち足りた、温かい光が灯っていた。それは、自分自身の欲望に素直になる勇気。そして、その欲望を満たすことで得られる、確かな幸福感だった。

「潮風」での時間は、終わった。しかし、綾香の中で、新しい何かが、静かに、しかし、力強く、芽生え始めていた。それは、彼女が、これからも、自分自身の人生を、自分らしく、歩んでいくための、確かな希望の光だった。