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■ 窒息顔面騎乗選手権：闇夜に咲く純白の薔薇

「Fetish Bum Tactics!!」――その配信限定作品のタイトルが、静かな部屋に響いた。夜の帳が降りた都会の片隅、築年数の古いアパートの一室。そこには、現実の喧騒から隔絶された、歪んだ悦楽を追求する者たちの集う秘密の空間があった。

今宵、その空間で繰り広げられるのは、常軌を逸した「窒息顔面騎乗選手権」。4人の男たちが、床に敷かれたマットの上に、それぞれ無抵抗な姿で横たわっていた。彼らは皆、自らの肉体を他者の支配下に置くことに、ある種の充足感を見出す「M」たちだ。

「よし、準備はいいか！」

鋭い号令が、部屋の空気を切り裂いた。主催者であり、この奇妙な祭典の審判を務める男、佐伯の声だ。彼は冷徹な眼差しで、マットの上に横たわる4人の男たちを見渡す。彼らの顔には、期待と不安、そして微かな興奮が入り混じった表情が浮かんでいた。

「まずは、一人ずつだ。時間計測、開始！」

佐伯の合図と共に、最初の男――名前を「レン」といった――の顔に、一人の男がゆっくりと跨り始めた。その男は、漆黒のレザーに身を包んだ「クロ」と名乗る男だ。クロは、レンの顔面に、まるで貴重な美術品を扱うかのように、静かに、しかし容赦なく座り込んでいく。レンの顔はみるみるうちに歪み、呼吸が浅くなっていく。その苦悶の表情こそが、クロにとっての至上の悦楽なのだ。

「…っ…はぁ…っ…」

レンの細い喘ぎ声が、部屋に響く。クロは、レンの顔を顔面騎乗することで、その生命線である呼吸を奪い、圧倒的な支配を表現していた。レンの顔は徐々に赤みを帯び、目には涙が滲み始める。だが、その涙は悲しみの涙ではない。むしろ、肉体的な限界と精神的な解放がもたらす、異常な歓喜の表れだった。

「タイム、45秒！次！」

佐伯の冷静な声が、レンの解放を告げる。クロはゆっくりとレンから降り、レンは荒い息遣いを繰り返しながら、マットの上で咳き込んだ。その姿を見て、次に控える男たちが、さらに昂るのを感じていた。

次の犠牲者となるのは「カイ」だ。カイの顔に座るのは、細身ながらも力強い男、「アキラ」だった。アキラは、レンに比べると、より攻撃的な騎乗を見せた。カイの鼻先を指で塞ぎ、口元に顔を押し付ける。カイの顔は、まるで熟した果実のように赤く染まり、息を求めてもがく姿は、見る者に強烈な印象を与えた。

「…くっ…！…あぁ…！」

カイの必死の叫びが、耳をつんざく。アキラの顔には、獲物をいたぶる捕食者のような満足げな笑みが浮かんでいた。この呼吸を止める寸前の、極限状態に追い込むことが、アキラの快感の源泉なのだ。

「タイム、52秒！惜しいな、カイ。だが、いい顔だった！」

佐伯の称賛に、カイは苦笑いを浮かべる。その苦笑いさえも、彼らにとっては愛情の裏返しだった。

そして、3人目の「ユウキ」の番だ。ユウキの顔に座るのは、冷静沈着な男、「リョウ」だ。リョウは、まるでダンスを踊るかのように、ユウキの顔の上で滑らかな動きを見せる。しかし、その滑らかさの中に、確かな圧力が込められていた。ユウキの顔は、徐々に青白くなり、瞳孔が開いていく。その変化を、リョウは静かに見つめていた。

「…っ…はぁ…はぁ…」

ユウキの呼吸は、もはや限界を超えていた。リョウは、ユウキの顔に体重をかけながら、耳元で囁いた。「大丈夫だ、ユウキ。すぐに終わらせてやる。」その言葉は、ユウキにとって、希望であると同時に、さらなる絶望の始まりでもあった。

「タイム、61秒！リョウ、お前はいつも冷静だな。だが、ユウキの顔、最高だったぞ！」

佐伯の声は、一瞬だけ感情を滲ませた。リョウは、ユウキからそっと降り、ユウキは、まるで溺れかけた人間のように、大きく息を吸い込んだ。

そして、最後の挑戦者――「ソラ」だ。ソラは、4人の中で最も繊細な顔立ちをしていた。その顔に座るのは、この中で最も強靭な肉体を持つ男、「ゴウ」だ。ゴウは、ソラの顔に座ると、まるで重い岩石のように、一切の妥協なく体重を乗せた。ソラの顔は、瞬く間に真っ赤になり、口からは泡が吹きそうになる。

「…っ…！…あぁ…！」

ソラの苦悶の声は、もはや人の声とは思えなかった。ゴウは、ソラの顔を覆い尽くすように座り込み、その苦しみを全身で感じ取っていた。ソラの顔は、まるで血が逆流するかのように赤く腫れ上がり、その表情は、もはや人間のものではないかのように見えた。

「タイム、75秒！ソラ！お前は最後まで限界を超えたな！凄かったぞ！」

佐伯の咆哮が、部屋に響き渡る。ゴウは、ソラからゆっくりと降り、ソラは、マットの上で、まるで生まれたばかりの赤子のように、喘ぎながら、しかし満足げに息をしていた。

「これで、一人ずつの部、終了だ！」

佐伯は、満足げに頷いた。4人の男たちは、それぞれに疲労困憊でありながらも、どこか達成感に満ちた表情をしていた。彼らの顔には、無数の傷跡や紅潮が残っていたが、それらは彼らにとって、勲章のようなものだった。

しかし、選手権はまだ終わらない。

「次だ！『マット上顔騎』！そして、『二人で一人責め』だ！」

佐伯の声は、さらに興奮に満ちていた。マットの上で、4人の男たちが、互いの顔に顔を押し付け合い、呼吸を奪い合う。その姿は、まるで動物の縄張り争いのようであり、同時に、歪んだ愛の交歓のようでもあった。

レンとアキラが、互いの顔に顔を押し付け、激しい呼吸の奪い合いを始める。カイとリョウは、互いの顔を両手で挟み込み、圧力をかけ合う。ユウキとゴウは、互いの顔に顔を埋め合い、もはやどちらが相手を支配しているのか、判別がつかないほどに一体化していた。

「もっとだ！もっと互いを追い込め！」

佐伯の声援が、彼らをさらに駆り立てる。彼らの顔には、苦悶と恍惚が入り混じり、もはや理性など存在しないかのように見えた。

そして、最後の競技。

「二人で一人責め！」

今度は、ゴウとリョウが、ユウキの顔に同時に跨る。ゴウの重さとリョウの巧みさが合わさり、ユウキの顔は、もはや原型を留めないほどに歪んでいく。ユウキは、もはや声も出せず、ただひたすらにもがくのみだった。

「…っ…！…あぁ…！」

ユウキの顔は、赤から紫へと変化し、その瞳には、もはや光が失われかけていた。しかし、その表情に、恐怖はない。あるのは、ただ、極限の快感に身を委ねる、純粋な陶酔だけだった。

「タイム！終了！」

佐伯の叫び声と共に、ゴウとリョウはユウキから降りる。ユウキは、マットの上にぐったりと横たわり、しかし、その口元には、微かな笑みが浮かんでいた。

「…最高だった…」

ユウキは、かすれた声で呟いた。その言葉に、他の男たちも、深く頷いた。

「Fetish Bum Tactics!!」――その配信限定作品は、歪んだ悦楽を追求する者たちの、禁断の祭典だった。そこには、苦痛と快感、支配と隷属、そして、常軌を逸した愛情が、混沌とした中で、しかし確かに、純白の薔薇のように咲き誇っていた。

闇夜に咲いたその薔薇は、光を求めてもがく者たちの、歪んだ、しかし偽りのない、魂の叫びだったのかもしれない。そして、その叫びは、限られた者たちにのみ、その真価を理解される、秘密の音色として、夜の闇に溶けていった。