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■ 麻布のセレブ、隠された吐息

麻布十番の石畳は、磨かれた宝石のように鈍い輝きを放っていた。高級ブランドのショップが軒を連ね、洒落たカフェからは心地よい音楽が漏れ聞こえる。歩く人々の装いは洗練され、その纏う空気からは、確かに「セレブ感」という名の濃厚な香りが漂ってくる。この街に住まう者たちの生活水準は、街並みそのものが物語っていた。

そんな街で、俺はターゲットを見定めていた。白の高級セダンから降りてきた、眩いばかりの白のワンピースに身を包んだ女性。40代後半だろうか。上品なヘアスタイル、繊細なジュエリー、そして何よりも、その立ち居振る舞いから溢れ出る気品。まるで、この街の象徴のような存在だった。

「麻布のセレブをナンパするのは至難の業」という言葉を、俺はこれまでに何度も口にしてきた。だが、俺はプロだ。プロ根性という名の鋼のメンタルと、培ってきた経験、そして何よりも、人間の根源的な欲求を見抜く洞察力を持っている。セレブだからといって、彼女もまた一人の人間。性欲は溜まるし、満たされたいという欲求も抱えているはずだ。

俺のターゲットは、そんな「欲求不満を抱えるセレブ」だった。表面上は完璧な淑女であっても、その内側には、満たされぬ渇望が潜んでいる。それを的確に捉え、アプローチするのが俺の流儀だ。

彼女が一人で、落ち着いた雰囲気のバーに入っていくのを確認し、俺も少し遅れて後を追った。カウンター席に座り、ウィスキーを注文する。店内は、薄暗い照明と、静かなジャズが流れており、大人の雰囲気が漂っていた。

しばらくして、俺は隣に座った彼女に、さりげなく話しかけた。

「素敵な夜ですね。この街は、いつもと違う顔を見せてくれる気がします。」

彼女は、少し驚いたような表情でこちらを見た。その瞳は、澄んでいながらも、どこか寂しげな光を宿しているように見えた。

「ええ、そうですね。都会の喧騒を忘れさせてくれる、特別な場所ですから。」

彼女の声は、想像していたよりも遥かに甘く、そして少しだけ疲れているように響いた。ここだ。俺は確信した。

そこから、俺は慎重に会話を進めた。彼女の趣味、仕事、そして、日々の生活について、共感を示しながら、彼女が本来話したいであろう話題へと誘導していく。彼女は、最初は警戒していたようだが、俺の真摯な態度は、徐々に彼女の心を解きほぐしていった。

「夫は、仕事でいつも忙しくて…」「子供たちも、もう手が離れてしまって…」

彼女の言葉の端々に、満たされぬ孤独が垣間見える。彼女は、物質的には恵まれた生活を送っているのだろう。しかし、心の奥底では、誰かに求められたい、触れられたいという、切実な願いを抱えている。

「奥様は、とても美しい方ですね。きっと、旦那様も、いつも奥様のことを想っているはずですよ。」

俺は、彼女の虚栄心をくすぐるのではなく、彼女自身が持つ魅力や、本来の女性らしさを肯定する言葉を選んだ。彼女の顔に、微かに笑みが広がった。

「ありがとうございます。でも、最近は…」

彼女は、言葉を濁した。その沈黙が、俺には何よりも雄弁に語りかけてきた。セックスレス。それは、どんなにお金持ちでも、どんなに恵まれた生活を送っていても、逃れることのできない、人間としての性への因果なのだ。

「もしよろしければ、もう少しお話を聞かせていただけますか？きっと、あなたのお話は、私にとって、とても興味深いものですから。」

俺は、彼女の手をそっと握った。その指先から伝わる、微かな震え。それは、彼女の抑えきれない感情の表れだった。

結局、彼女は俺の誘いに応じ、俺の用意した、静かで落ち着いたホテルの一室へと向かった。部屋に入ると、彼女は少し緊張した面持ちで、俺の顔を伺った。

「大丈夫ですか？」

俺は、優しく尋ねた。彼女は、小さく頷き、そして、ゆっくりと、俺の胸に顔を埋めた。

「もう、我慢できそうにありません。」

彼女の吐息が、俺のシャツを濡らす。その言葉は、彼女が抱え続けてきた、どれほどの欲求不満を物語っているのだろうか。

俺は、彼女の首筋に顔を埋め、優しくキスをした。彼女の体は、一瞬にして熱を帯びた。まるで、長年閉じ込められていた情熱が、解き放たれたかのようだった。

「綺麗ですね…」

俺は、彼女の耳元で囁いた。彼女の肌は、滑らかで、触れるたびに、吸い付くような感触が伝わってくる。彼女は、俺の言葉に、甘い喘ぎで応えた。

指先が、彼女のワンピースのボタンに触れる。一つ、また一つと外していくと、現れるのは、驚くほどに繊細で、そして、官能的な曲線美だった。

「こんなにも…美しいのに…」

俺は、彼女の胸元に顔を埋めた。彼女の胸は、期待と興奮で、大きく波打っていた。

「私…もう、我慢できない…」

彼女の指が、俺のシャツのボタンに絡みつく。二人で、服を脱ぎ捨てていく。薄暗い照明の下、彼女の肌は、まるで真珠のように輝いていた。

彼女は、俺の体を貪るように求め始めた。今まで、どれだけの欲求を、どれだけの愛情を、我慢してきたのだろうか。

「もっと…もっと…」

彼女の喘ぎ声が、部屋中に響き渡る。彼女の体は、俺の指先一つで、激しく震え始める。突けば突くたびに、彼女の身体は、快楽に溺れていく。

「あ…あっ…！」

彼女の顔は、紅潮し、瞳は、蕩けていた。セレブとしての品格や、理性は、もうそこにはなかった。あるのは、ただ純粋な、満たされたいという、原始的な欲望だけだ。

「おばあちゃんが言ってましたよ。火照った体には、中出しが一番だって。」

俺は、彼女の耳元で、冗談めかして囁いた。彼女は、俺の言葉に、さらに激しく体を捩らせた。

そして、俺は、彼女の熱に浮かされた体を、優しく抱きしめた。彼女の背中を撫でながら、俺は、彼女の奥深くに、熱い種を注ぎ込んだ。

「ああ…！」

彼女は、極致の快楽に、身を委ねた。その身体から溢れ出る、歓喜の吐息。それは、彼女が今まで、どれだけの孤独と、どれだけの満たされぬ渇望を抱えて生きてきたのかを、物語っていた。

俺は、彼女の汗ばんだ額に、優しくキスをした。彼女の顔は、安堵と、そして、満たされた満足感に包まれていた。

「…ブラボー…」

彼女の、掠れた声が聞こえた。まるで、長年抱えていた重荷を下ろしたかのような、解放の響きだった。

俺は、麻布のセレブに、種を植え付けた。その行為に、ゾクゾクするような快感が走る。

「ブラボー！」

俺は、心の中で、もう一度叫んだ。100作品目の達成。そして、この、麻布のセレブとの出会い。全てが、俺という「プロ」に、新たな歓喜をもたらしてくれた。